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  • 2018/08/27 掲載

コカ・コーラ流マーケティング、「綾瀬はるか起用」の深謀

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飲料ブランドとして不動の地位を確立し、世界に君臨するコカ・コーラ。しかし、日本コカ・コーラ マーケティング&ニュービジネス部門 エグゼクティブ バイス プレジデントのカリル・ヨウンス氏は日本コカ・コーラを「グローバルカンパニーであり、日本企業でもある」と述べる。同社が日本向けに実施した2つのマーケティング事例と、ワールドカップとオリンピックという世界的なスポーツイベントで行った施策、さらに日本のブランドキャラクターとしての女優の綾瀬はるか氏起用からその秘密を明らかにする。
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日本コカ・コーラ
マーケティング&ニュービジネス部門 エグゼクティブ バイス プレジデント
カリル・ヨウンス氏

マーケティングとイノベーションとコカ・コーラ

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 マーケティングは時代とともに進化している。日本市場にコカ・コーラが参入してから61年が経過した。テレビCMを打てば売れる時代は終わった。

 「コカ・コーラの歴史に比べれば日本における事業展開の歴史は浅いものの、グローバルの観点から見ると、日本はイノベーションの国だといえる」とヨウンス氏は語る。

「たとえば、自動販売機などのイノベーションが起こり、コカ・コーラが作った最初のコーヒー飲料が日本で発売された。また、スポーツ飲料も日本市場向けに開発された商品だ」(ヨウンス氏)

 日本における売上構成比を見ると、「実はコカ・コーラという製品は、全体の売り上げの2割以下しか占めていない」という。現在、日本市場では800の製品と50ブランドを擁し、炭酸飲料やスポーツ飲料、コーヒー、ジュース、飲料水、エナジードリンクといったブランドがすべてコカ・コーラの傘下にある。特に「ジョージア」「アクエリアス」「いろはす」「綾鷹」の4ブランドは海外にも輸出されている。

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日本におけるビジネスポートフォリオ。2018年にも多くの新製品を投入していく予定だ

 日本コカ・コーラが行ってきた取り組みは「グローバルで最良な要素と、日本独自の最良の要素を融合させたマーケティングやイノベーションにある」とヨウンス氏。これらは、サプライヤーやパートナー、広告エージェンシーやメディアなど、マーケティングコミュニケーションに関わるエコシステムの中で培われてきたものだ。「日本コカ・コーラはグローバルカンパニーでありながら、日本企業でもあることをぜひ認識してほしい」とヨウンス氏は述べた。

コカ・コーラのマーケティングに必要なこと

 コカ・コーラは統合されたマーケティングコミュニケーションとして「IMC(Integrated Marketing Communication)」を推進している。IMCに至る経緯として、ヨウンス氏は「1980年代のマスマーケティングから、90年代に入り、ターゲットのセグメンテーションを行うようになった」と説明する。

 さらに2000年代に入ってからは、ターゲティングの精緻化に取り組み、2010年代には高度なテクノロジーを使って、ネットワークの活用に取り組んでいる。

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マーケティングの進化の先にIMCがある

 統合型マーケティングは、クリエイティブを作りテレビなどのマスに発信するところから、実際に消費者が店頭で棚から商品を手に取るまでのタッチポイントを統合し、「消費者がどんなメッセージを、どこで受け取るかを考えること」だといえる。

 ヨウンス氏は「アーンドメディア」「シェアードメディア」「オウンドメディア」「ペイドメディア」の4つのメディア領域を通じて価値を創造することが大事だと述べた。

「最近では、ファンがファンを作るという考えにシフトしてきた。ブランド体験が消費者の間で会話を生み出し、会話そのものがブランド体験となる。そんなストーリーを考えていくことを重視している」(ヨウンス氏)

 コンテンツを通じて人々がブランドを体験し、ブランドについて話すこと(カンバセーション)が、ブランドに対するエンゲージメントにつながる。具体的には「人と人とのコミュニケーション」の間で会話が生まれるような「ストーリーの連環」だ。「そのために必要なことは“コンテンツ”と、どのメディアにこのコンテンツを投入するかという“コネクション”の2つだ」とヨウンス氏は説明する。

「コンテンツは、人々の会話に乗せられるように考え抜かれ、素晴らしいものでなければならない。一方で、コネクションのプランも必要だ。コンテンツを醸成し、メディアプラットフォームなどを通じてコンテンツをしっかり広げていくことが重要だ」(ヨウンス氏)

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コンテンツとネットワークがIMCのコアとなる
 4つのメディア領域とコンテンツ、コネクション、オンライン、オフラインを含めたさまざまなチャネル。「これらが統合されたプラットフォームとなり、ブランドのメッセージやコミュニケーションを広げていくことが不可欠だ」とヨウンス氏は語る。

【次ページ】コカ・コーラは日本のブランド「緑茶」に挑んだ

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