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  • 2019/03/19

告示迫る大阪ダブル選、有権者は何を基準に投票すべきか

21日に知事選、24日に市長選が告示される大阪ダブル選は、大阪府知事の松井一郎氏(55)、大阪市長の吉村洋文氏(43)がポストを入れ替えて立候補する大阪維新の会に対し、自民党が擁立した元大阪府副知事の小西禎一氏(64)が知事選、元大阪市議の柳本顕氏(45)が市長選に挑む構図となった。維新は大阪都構想再挑戦の信を問うとしてダブル選に踏み切ったが、都構想は2015年の住民投票で否決されたほか、大阪には経済の復権など他の課題が山積している。近畿大総合社会学部の金井啓子教授(ジャーナリズム論)は「前回の住民投票が持つ意味は大きい。有権者は都構想だけにとらわれず、大阪を活気づかせられる候補に投票すべきだ」と指摘する。投開票の4月7日に有権者はどんな判断を示すのだろうか。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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知事選が21日、市長選が24日に告示される大阪ダブル選。大阪府庁のトップに誰がつくことになるのだろうか
(写真:筆者撮影)

維新対オール野党の対決の構図

 ダブル選で維新は松井氏が市長選、吉村氏が知事選に立候補する。任期満了は知事が11月26日、市長が12月18日。同じポストで出直し選をすると、現職が当選した場合、年内に任期が満了し、再び選挙となるため、4年の任期が確保できるよう立候補先を入れ替える。都構想実現のために打ち出した極めて異例の手法だ。

 維新は府市両議会で最大会派となるなど府内で根強い人気があるが、これまで橋下徹前大阪市長の人気に依存して支持を広げてきた一面も持つ。2015年の前回ダブル選では松井、吉村の両氏が都構想再挑戦を掲げる傍らに橋下前市長の姿があった。

 しかし、今回は橋下前市長が政界を引退した中で、あえてダブル選に打って出た。どちらか1つのポストを失うと都構想再挑戦が困難になるばかりか、党勢に大きなダメージを受けかねない。

 それでもダブル選に挑む理由について、大阪市の党本部で記者会見した松井氏は「前回の知事選で公約した都構想再挑戦がつぶされかけている。もう一度、みなさんの意見を聞きたい」、吉村氏は「あらためて都構想に対する民意を選挙で問いたい」と都構想への強いこだわりを訴えた。

 これに対し、都構想に反対してきた自民党は大阪市出身の俳優辰巳琢郎氏に知事選立候補を要請したが、固辞され、小西氏の擁立を決めた。市長には元大阪市議で前回の市長選に立候補した柳本氏を擁立する。

 公明党は小西、柳本の両氏を府本部推薦とすることを決めた。立憲民主党、共産党は両氏を自主的支援とする。国民民主党も自公との共闘を模索しており、都構想に対する賛否と同様に維新対オール野党の構図となる見込み。

 小西、柳本の両氏は17日、出馬表明後初めて大阪市天王寺区で街頭演説した。小西氏は「大阪都構想に終止符を打ち、大阪の課題に全力投球する」、柳本氏は「大阪市の存続と大阪の政治状況安定に全力で立ち向かう」と声を張り上げた。

法定協議会で都構想再挑戦が袋小路に

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 大阪都構想は大阪市を廃止し、東京23区のような特別区に再編する制度改革。成長戦略やインフラ整備など広域行政を府に一本化し、教育や福祉など身近な行政を特別区に委ねる。過去に足並みの乱れをたびたび指摘された二重行政の弊害を解消するのが最大の狙いだ。

 都構想法定協議会の事務局は現在の24区を4区に再編する案を提示している。大阪城から見た方角や位置に基づく「中央区」、「北区」、「東西区」、「南区」で、維新はこのうち、東西区の名称に違和感を持つ市民が多いとして住民アンケートに基づき、「淀川区」を党の名称案とした。

 前回の住民投票は公明党の協力があり、2015年5月に実施された。しかし、賛成69万4,844票に対し、反対票70万5,585票の僅差で否決された。高齢者や大阪市南部の住民で反対が多く、選挙結果を受けて橋下前市長が政界を引退している。

 その後、都構想に代わる二重行政解消の場として大阪戦略調整会議が設けられたが、実質審議に入れないまま空中分解した。前回のダブル選で松井知事、吉村市長が誕生したあとで設置された都構想の法定協議会でも、維新と自民党などが双方の主張を繰り返す中、議論の進展が見られなかった。

 維新は、都構想自体に反対だが、住民投票を否定していない公明党との連携で事態を打開しようとしてきた。しかし、維新が提案した住民投票のスケジュール案が公明党を含む反対多数で否決され、都構想再挑戦が袋小路に陥った。

 公明党はこれまで、府市の予算や政策で維新に歩み寄り、強調する一面を見せてきた。維新も衆院選で公明党候補に対立候補を立てないなど、一定の配慮を示している。しかし、その関係も破たんした。

住民投票後の大阪都構想の推移
2015年5月住民投票で大阪都構想が否決
8月橋下徹大阪市長(当時)が都構想再挑戦を表明
9月都構想に代わり、二重行政解消を話し合う場として設けられた大阪戦略調整会議が実質協議に入れず、空中分解
11月大阪ダブル選挙で府知事に松井一郎氏、市長に吉村洋文氏が都構想再挑戦を掲げて当選
12月政界引退を表明していた橋下徹大阪市長(当時)が退任
2016年7月参議院大阪選挙区(改選数4)で維新の公認候補が2人当選
8月大阪市が「特別区」と「総合区」の市民向け説明会をスタート
2017年6月大阪都構想の法定協議会が初会合。都構想推進の維新と反対の自民党などが初回から対立
10月衆議院の大阪府内小選挙区で維新が苦戦。比例復活を除き、当選が3人にとどまる
2018年12月松井知事が住民投票実施をめぐる公明党との合意文書を暴露、約束が反故にされたとして記者会見で反発
2019年3月法定協議会で住民投票実施に向けたスケジュール案が否決。松井知事と吉村大阪市長が辞職し、大阪ダブル選へ。自民党は知事候補に小西禎一元大阪府副知事、市長候補に柳本顕元大阪市議を擁立

【次ページ】府民世論調査でダブル選への反応は拮抗

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