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  • 2013/10/10 掲載

デジタルマーケティング時代のCMO2.0とは?マーケティング・ストラテジスト セイガー氏

CMO(最高マーケティング責任者)の役割が激変

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近年のテクノロジーの進化は、CMOの役割をも根本的に変化させている。ビッグデータをはじめとする革新的なアナリティクスを統括し、ビジネスに成果をもたらす武器として最大限に活用していくのがCMO2.0だ。VisaやCharles Schwabなどの名だたる企業でCMOを歴任し、まさに“マーケティングの申し子”と呼ばれる、マーケティング・ストラテジスト/アドバイザー、ベッキー・セイガー氏が、デジタル時代におけるCMO2.0のあるべき姿について語った。

フリージャーナリスト 小山 健治

フリージャーナリスト 小山 健治

1961年生まれ。システムエンジニア、編集プロダクションでのディレクターを経て、1994年よりフリーランスのジャーナリスト、コピーライター。企業情報システム、BI、ビッグデータ、IT関連マーケティング、ストレージなどの分野を中心に活動中。著書に、「図解 情報・コンピュータ業界」(東洋経済新報社)、「One to One:インターネット時代の超マーケティング」(IDL)、「CRMからCREへ」(日本能率協会マジメントセンター)などがある。

テクノロジーの進化がCMOの役割を激変させた

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ベッキー・セイガー氏
 最近になってようやく日本でもスポットが当たりはじめたCMO(最高マーケティング責任者)だが、米国企業ではマーケティング戦略立案や予算配分など、非常に重要なミッションを担っている役職だ。

 もっとも、そんな米国企業といえども、昔からCMOがCOO(最高執行責任者)やCIO(最高情報責任者)と並ぶような権限が与えられてきたわけではない。

 1960年代から80年代において、フォーチュン500社の中にCMOのポジションを置く企業は見当たらなかった。その後、2000年代に入って、CMOを置く企業は大手のみならず中堅・中小企業の間にも広がっていったわけだが、“CxO”と呼ぶにふさわしい権限が与えられていたとはとても言い難い状況だった。

 ある調査によると、CMOの平均勤続期間はトップ100社にランクされる企業でも2年以下、電気通信業界では1年程度にすぎなかったのである。このような短期間でブランディングを行い、業績アップにつながる成果を出すのは不可能だ。

 そうした中、「テクノロジーによって、今までとまったく違った新しいマーケティングの時代が始まり、CMOの役割を劇的に変化させている」と語るのは、「アドテック東京 2013」のキーノート(基調講演)に登壇したベッキー・セイガー氏である。

 セイガー氏は、VisaやCharles Schwabなどの企業でCMOを歴任し、全米広告主協会(ANA)の前理事長(=チェアパーソン)を務めるなど、常にグローバルマーケティングの推進役として活躍してきた人物だ。なかでもVisa在籍時には、ブランド戦略および Visa の全広告、販売促進、デジタル・マーケティング、ダイレクトマーケティング、スポンサーマーケティング、さらにメンバー銀行のVisa Marketing Consulting を統率。その間、Visa は米国マーケティング協会のマーケティング部門の殿堂入りを果たした。

 まさに“マーケティングの申し子”と呼ぶべきセイガー氏は、新しいCMOのあり方を、このように定義するのである。

「ビジネス業績の達成やカスタマー・エクスペリエンスの創造のため、かつてないシビアさが要求されるマーケターにとって、テクノロジー、ビッグデータ、そしてイノベーションといった武器を最大限に活用することが求められている。これらを統括するのが、今日的CMO(=CMO2.0)と言える。」

科学的なアナリティクスを目に見える業績に結び付ける

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 セイガー氏によると、CMO2.0の最も重要な素養の1つに「アナリティクス」がある。

 「CMO2.0は、ビッグデータがどこにあることを知っているだけではなく、それを戦略的に活用し、効率的なマーケティングにつなげていかなければならない。そのミッションをしっかり理解し、実践していくことがCMO2.0の極意となる。CMO2.0はアナリティクス2.0と言い換えてもよい。アナリティクスによって、ビジネスの目標に対するマーケティング政策や貢献度も明確になっていく」とセイガー氏は強調するのだ。

 また、年次、月次、日次といったスパンでリソースを最適に配分するかを考え、ビジネスの予測分析を行って企画を立て、マーケティングとの関係性からROIを明らかにしていくこともCMO2.0の役割となる。

 CMO2.0はマーケターであり、サイエンティストであり、ブランドバリューの推進者であり、アナリティクスを駆使するテクノロジストでもある。セイガー氏の説明を聞いているうちに、「そんなスーパーマンのような人材がどこにいるのか?」とも思えてくるが、要するに、より科学的なマーケティングを実践し、売上などの目に見える成果に結び付けていくことが、CMO2.0が担っていくべき役割の核心となる。

 だからこそ、CEOやCFOといった経営陣とも密接な関係ができ、より大きな権限を与えられることになる。

 実際、最近の調査によると、CMOの平均勤続期間はかつての2倍以上となっており、長期的なスパンで手腕をふるえる環境が整いつつある。「それだけCMO2.0の仕事は、魅力的なものになっている」とセイガー氏は言う。

【次ページ】CMO2.0を成功に導く7つの鍵

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