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  • 2014/10/10 掲載

テスラはどこがイノベーティブなのか?次世代自動車にかかる期待と課題

連載:次世代自動車の衝撃

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自動運転システムを筆頭に、「次世代自動車」への取り組みが注目を集めている。2013年11月に、国会周辺でトヨタ自動車や日産自動車、ホンダの自動運転車による一般道で初の走行実験を公開されているほか、安倍晋三首相も自ら最新の車両に乗り込んで、日本勢の技術力の高さを内外にアピールした。また、2014年2月には、 テスラ・モーターズが世界初の電気自動車セダン「モデルS」の国内販売を開始。5月にはグーグルがハンドルのない自動運転車の試作機を公開するなど、話題に事欠かない状況が続いている。本連載では、ものづくり産業一大イノベーションとしての次世代自動車をめぐる地殻変動を紹介する。
ストラテジック・リサーチ 森田 進

ストラテジック・リサーチ 森田 進

ストラテジック・リサーチ代表取締役。各種先端・先進技術、次世代産業、IT活用経営、産学官連携に関するリサーチ&コンサルティング活動に取り組む。クラウド、仮想化プラットフォーム、エンタープライズ・リスクマネジメント/BCP、モバイル・プラットフォーム、情報化投資の各分野において研究およびエヴァンジェリズム活動を展開し、実績を積む。
URL:http://www.x-sophia.com/

次世代自動車にかかる期待と課題

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グーグルが2014年5月に発表した自動運転車の試作機。ハンドル、アクセル、ブレーキがなく、運転操作はセンサーとソフトウェアで行う。
(出典:グーグル)

 昨今、自動運転システムを巡っては、日本だけでなく、欧米の自動車メーカー、あるいは米グーグルなどIT(情報技術)企業、韓国に代表されるアジアの自動車メーカーや系列部品メーカーなどがこぞって参画し、持てる人材や最先端の技術を注ぎ込んでいる。

 安倍首相が自動運転という次世代の技術分野で日本の自動車産業に期待をかけるのは、このイノベーティブな分野で自国の産業が主役を演じられれば、自動車産業の賦活と同時に、わが国の経済成長への期待をつなぎ留めることができるという認識を持っているからに他ならない。

 世界的に高齢化社会を迎え、スマートシティという新たなビジョンが実践的に計画・運用されようとしている現在、若者以外に、高齢者や女性はこれからの近未来の自動車市場のボリュームとその多様性を支える層として注目されている。

 こうした潜在的な顧客や今後確実に成長が見込める市場、多様性が確保されている市場に向けて、資源を投資し、魅力ある商品を提供しなければならない。

 そして今後数十年間、自動車産業・自動車市場において、ドイツをはじめとする欧州車と伍して世界市場を牽引していくには、超小型モビリティをはじめ、次世代自動車としての資質を具有した製品ラインアップ、それを実現する生産技術・要素技術のリニューアル、プラットフォームの整備に向けて、産学公が連携しながら動いておく必要がある。

 しかもこれは焦眉の急である。なぜなら、テスラ・モーターズや米グーグルなど、自動車産業以外の領域から、ITのバックグラウンドを備えた企業が次世代の自動車を創り出し、そのコンセプト、実現モデル、社会的なインパクトのいずれにおいても既存の完成車メーカーの先を行き、同時に、ユーザーの自動車に対するニーズの変化がみられるからである。

グーグルの自動運転車開発の経緯


 現在、日本勢や次世代自動車のベンチャー企業が世界の自動車産業で市場支配力や市場での存在感を発揮しているが、だからといって、次の世代、あるいはさらに新たな時代にそのままで優位に立てる保証はまったく無い。

生産ラインのコンパクト化、メガプラットフォームなども注目

 近年、自動車の世界では、さまざまな側面でイノベーティブな研究開発が進展中である。その一つが、冒頭で触れた「自動運転システム」である。

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自動運転の実現による効果(イメージ)
(出典:国土交通省)



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 自動運転システムの技術を支えるのは、走行制御や運転支援など安全運転や安定走行を目的とした自動車自体が備える「制御系」の技術である。これには単独の自動車の制御だけに限らず、複数の自動車間制御も含まれている。

 制御系の進展と並行して、生産方式や新製造系のイノベーションもダイナミックに進展中である。欧米の自動車メーカーを中心に、工程削減、工程集約、工程短縮といった施策が積極的に進められている。そうした施策において、最大かつ最効率で効果をあげているのが、いわゆる「生産ラインのコンパクト化」である。あるいは自動車向けの商品群を、最低限、共通化したプラットフォーム構成要素(モジュール)を組み合わせて実現しようという、「メガプラットフォーム」である。

 また、制御系や生産方式・新製造システムのイノベーションとともに、現在、精力的に進められているテーマに情報系のイノベーション、すなわち「インフォマティクス」がある。

 これは、自動車を運転するドライバーや同乗者に対する情報面での多元的な支援(サービス)という、いわゆる広義の自動運転システムとつながりがあるテーマであり、全地球測位システム(GPS)を使ったカーナビゲーションシステムの高度化、ITSやテレマティクスの高度化、電気自動車などにおけるバッテリー監視やそのためのプラットフォーム整備、スマートハウス/スマートシティとの統合などが含まれる。

 このうち、制御系ではやはり、日本やドイツをはじめとする伝統的な自動車メーカーが得意とする分野だけに、これらの国々が技術開発面でリードを広げつつある。たとえば、駆動系周りでは日本勢などがモーターを組み合わせたハイブリッド車の開発・実装で圧倒的にリードしている他、燃料電池車などのまさしく次世代に主役となることが予想される領域でも、日本のメーカーが技術開発、標準化の各方面で業界を牽引している。

 また、センサーで歩行者などを検知して自動的にブレーキをかけるといった安全運転、自動運転システムの領域では、デンソーやボッシュといった専業部品企業と完成車メーカーが連携して実用化を進展させており、これまでの技術的な蓄積を保有する日本やドイツをはじめとする伝統的な自動車メーカーが優位に立っている。

【次ページ】なぜテスラはイノベーティブなのか

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