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  • 2015/05/12 掲載

絶好調「スバル大変身」の原点は、トヨタからの“愛のムチ”だった

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「スバル」の富士重工業の2015年3月期決算は、前期に比べ勢いは落ち着いたものの2ケタの増収増益だった。国内販売台数は10.4%減の16.3万台でも海外販売台数は16.2%増の74.8万台で、「北米、SUV」への選択と集中が効いて最高益を更新。今期も勢いが続き、増収増益を見込む。売上高営業利益率は、トヨタの10.1%を大きく上回る14.7%で業界のトップを走るまでになった。
経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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(Photo by Yang and Yun's Album

「いいクルマをつくるけれど商売は不得意」からの脱却

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 富士重工業の2015年3月期決算は大幅な増収増益となった。日本基準の2015年3月期の決算内容は、連結売上高は19.5%増の2兆8779億円、営業利益は29.6%増の4230億円、経常利益は25.2%増の3936億円、当期純利益は26.7%増の2618億円。

 2ケタの増収増益でいずれも3期連続の過去最高。2014年3月期の営業利益171.1%増、経常利益212.5%増の3ケタ増益と比べれば勢いは落ち着いたが、依然として好業績が続いている。年間配当は第3四半期決算時点では据え置きになる見通しだったが、期末に株主配分を見直して前期比15円増配の68円とした。

 今期、2016年3月期の通期業績見通しは、売上高は5.3%増の3兆300億円で初の3兆円台に乗せ、営業利益は18.9%増の5030億円、経常利益は25.7%増の4950億円、当期純利益は28.7%増の3370億円といずれも4期連続過去最高を見込んでいる。

 スバルと言えば、戦前の中島飛行機以来の実直な「技術者魂のクルマづくり」のイメージがあり、その代表は4WD(四輪駆動)や水平対向エンジンの技術だろう。本田宗一郎氏の個人的な人気もあったホンダとはまた違うニュアンスでクルマ好きに支持されてきた。

 しかし販売はトヨタや日産やホンダの後塵を拝して数字があげられず、「いいクルマをつくるけれど商売は不得意」「万年中堅メーカー」という評価が、よく言われてきた。

 経営状況も思わしくなく、かつては親会社の日産、メインバンクの日本興業銀行(現みずほ銀行)から何度も支援を受け、2000年に親会社が日産からGMに代わっても、2005年にGMが持株を売却してトヨタが筆頭株主になっても、そのたびに支援を受けた。

 それが今、売上高営業利益率でトヨタの10.1%を上回る14.7%(2015年3月期)で業界トップの「ピカピカの好業績企業」に大変身。その最大の理由は、地域と車種の「選択と集中」が大成功をおさめた点にある。

 そのターゲットは「地域は北米」「車種はSUV」。国内でもヨーロッパでも中国でも新興国でもなく北米を狙ったことで、アメリカの力強い景気上昇、ドル高の恩恵を受け、2015年3月期の海外販売台数は16.2%も増加して74.8万台だった。そのうち北米(アメリカ、カナダ)は57万台で63%を占める。

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富士重工業 世界地域別の完成車販売台数(2015年3月期)
(出典:会社資料)


 そのおかげで国内の消費増税後の反動減、ヨーロッパの景気減速とユーロ安、中国の経済成長率の鈍化、新興国の通貨安などの影響が他の自動車大手よりも軽微だった。中心車種を比較的高価格で利益率の高いSUV(多目的スポーツ車)とし、2012年に軽自動車生産から撤退し小型車の比率が低いことも、売上高営業利益率の高さにつながっている。

 他社の2015年3月期決算をながめてみれば、国内販売台数は10.4%減の16.3万台だった富士重工に対し、トヨタは11%減、日産は13%減とさらに悪い。

 今期見通しも、ホンダ、マツダ、三菱は新興国の通貨安など為替要因で、営業利益が大きく押し下げられると見込まれる。また、底は打ったものの、原油安は小型車、エコカーには逆風で、これまで軽自動車で快調に稼いできたスズキ、ダイハツの業績は、2015年4月の軽自動車税増税後の反動減が予想される。

 それを考えれば、「北米、SUV」への選択と集中を進めた富士重工の「立ち位置の良さ」が際立つ。アメリカの利上げの影響のような不確定要素もないとは言えないが、よほどの大変動でもない限り、今期も海外で稼いで引き続き世界販売台数の増加(会社予想は1.9%増の92.8万台)、北米販売台数の7期連続過去最高、増収増益が見込めそうだ。

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