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- 2018/02/20 掲載
リアルワールドゲームス 清古貴史 社長に聞く、BitHuntersがポケモンGOを超える日
リアルワールドゲームスが作る「リアルワールドゲーム」とは?
リアルワールドゲームスが4年の歳月をかけて企画・開発したBitHuntersは、スマートフォン向けの位置情報ゲームである。現実の街を歩いてロケーションを発見し、広大な空間で敵を倒して楽しむ。同社はこの種の「現実世界を歩くことで進行するスマートフォン向けの位置情報ゲーム」を「リアルワールドゲーム」と呼んでいる。
同社が開発したゲームプラットフォームでは、ゲームコンテンツだけでなく、教育系や医療系のアプリケーションまで開発できるようになる。
「国際糖尿病連合が2017年に発表したデータによると、世界人口75億人のうち、4億2500万人が糖尿病にかかり、90兆円以上の治療費が必要な状況です。日本国内だけでも1000万人以上の患者がいます。我々はBitHuntersを通じて、医療費問題を解決したいと考えています。リアルワールドゲームは歩く位置情報ゲームなので、遊びながら自然に運動できるというメリットがあります。特にBitHuntersのテストプレイヤーの歩行距離は、ポケモンGOの1.8倍という数字が取れています」(清古氏)
「自前の地図情報を持つ」ことで差別化を図る
清古氏はリアルワールドゲームの定義として「リアルな地図を持つ」「ワンワールドの世界を有する」「ユーザーの位置情報が常に反映される」という3つの技術要素を挙げる。具体的には、Niantic社が開発したIngressとポケモンGO、そして同社が開発中のBitHuntersもリアルワールドゲームに含まれるという。
「これまで、位置情報を使ったゲーム開発といえば、ゼンリンやGoogle Mapの地図データを使うことが一般的でした。たとえばGoogleのAPI(Application Programming Interface)経由で画像の地図データを利用すれば、開発も容易に行えるのですが、利用コストがかかりすぎてしまいます。採算が取れない、なんてことにもなりかねません。そこで我々は独自に世界中から地図データを収集し、さらに位置精度を高める工夫を凝らしたのです」(清古氏)
地図情報は画像として処理することが多いが、BitHuntersは地図情報を画像ではなく、点で表現するマッピングテクノロジーを採用している。このため地図の精度が高く、周囲の建物の状況を詳しく表示できる。同氏によれば、この種のゲームを違和感なくプレイするためには、こういった情報は重要だという。
また、リアルワールドゲームは、1つのサーバのゲーム世界に対して、プレイヤー全員がアクセスする、いわゆる「ワンワールド」を実現していることも特徴だ。
従来のネットワークゲームはサーバを区切り、1つのサーバで1万人程度の限られた人数のユーザーがゲームにアクセスしてプレイする形式だった。この方法なら、ユーザーが増加してもサーバを追加すれば対応できるため、負荷に対応しながらスケールできる。そのため、設計時にキャパシティ・プランニングもしやすい。反面、別々のサーバ間でプレイヤー同士が交流できないというデメリットがあった。
そこで、BitHuntersでは、サーバを1つに集約し、あらゆるユーザーが1つのゲームの世界を共有しながら遊べるようにしている。
もう1つリアルワールドゲームを特徴づける点が、ユーザーの位置情報が常に反映される仕組みだ。
従来の位置情報ゲームはキロメートル単位で端末をトラッキングし、特定場所でユーザー自身がチェックインする形だった。しかしIngress以降のゲームでは、端末とサーバが常時通信して位置情報を取得している。
清古氏は「ユーザーの位置情報が常に反映される仕組みは、O2O(オンライン トゥー オフライン)送客に活用することができます。たとえば、BitHuntersで遊びながら街中を歩き回ったらのどが渇きますよね? そんなときに、地図情報を使って『この先にコンビニがある』『あっちに行けば自販機がある』というのがわかれば、ユーザーのラストワンマイルにアプローチできます」と、ビジネスの可能性を指摘する。
【次ページ】BitHuntersで実現する3つのビジネスモデルとは
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