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  • 2019/04/05

プラスチックごみ問題に突破口?なんと持久力6倍、耐久力3倍の道路になった

今や地球環境の悪役と化した「プラスチック」。2018年8月のOECD報告書によると、全世界でプラスチックごみは年間3億2000万トン発生し、環境への流出による損害額は年間約130億ドル(約1兆4000億円)に達するという。廃プラスチックのリサイクル率は世界全体では14%にとどまる。そんな中、英国のMacRebur社がアスファルトに廃プラスチックを利用する技術を開発し、先進国でも途上国でも廃プラスチックを道路舗装材にリサイクルする動きが進んでいる。廃プラスチックのリサイクル率84%の“優等生”日本でも、その活用は進むか。

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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環境問題の“悪役”、廃プラスチックはいかに活用できるのか
(©panaramka - Fotolia)


35年でプラスチックごみは6倍に増加、しかしリサイクル率は……

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 軽くて丈夫な素材「プラスチック」は20世紀後半、石油化学製品として大量に安く生産され、人類の生活を便利にした。重いガラス瓶や金属缶は軽いPETボトルやポリエチレン、ポリプロピレン製ボトルに代わり、商店の紙袋はポリエチレン製のレジ袋に代わり、緩衝材としてポリスチレン製の発泡スチロールが普及した。今はどこの家庭でも、プラスチックごみのかさは、燃えるごみのかさとあまり変わりないだろう。

 そのプラスチックは現代では、地球環境をおびやかす「悪役」として認識されている。たとえば廃プラスチックが埋め立て処分場から川を経て海に流れ込み、「マイクロプラスチック」(一般に5mm以下の微小なプラスチック)が生態系を脅かすという問題がクローズアップされている。

 2018年8月にOECD(経済協力開発機構)が発表した報告書「Improving Markets for Recycled Plastics」では、2015年の全世界のプラスチックごみの発生量は3億200万トンにのぼり、1980年の約5000万トンから35年間で約6倍に増加した。

 しかしそのリサイクル率は全世界平均で14%(UNEPの2018年の報告書「Single-use Plastics」)しかない。投棄されたり埋め立て処分場から流出して海に達するプラスチックごみは年間400~1200万トン(2010年時点)と推定され、海洋汚染による漁業への悪影響、観光客の減少などによる損害額は年間130億ドル(約1兆4400億円)にのぼると指摘されている。

「プラごみだらけの地球」を防ぐため、企業も取り組みを開始

 OECDの報告書によると、世界のプラスチック生産量は1950年の200万トンから2015年の4億700万トンへ、65年間で2035倍になった。UNEP(国連環境計画)の報告書「The State of Plastics」は2030年、さらに1.52倍になり年間6億1900万トンに達すると予測している。

 リサイクルされず投棄や埋め立てに回ったプラスチックごみは腐敗も分解もしないため環境中にたまる一方で、その「残量」はOECDによると2015年時点で約54億トンあり、現状のペースなら2050年にはほぼ倍増の約120億トンに達すると警告している。このままでは地球は、プラスチックごみだらけの惑星になってしまいかねない。

 この問題は2018年6月のシャルルボワG7サミットで議題にのぼり、削減の数値目標が入った「海洋プラスチック憲章」が採択されたが、米国と日本は署名しなかった。2019年6月に大阪で開催されるG20サミットでも重要議題になる可能性は高いという。

 民間企業もそれに対応し、ニュースになっている。アディダスは2016年に店頭のビニール袋を紙袋に変え、ユニリーバ、コカ・コーラ、ネスレは容器の完全リサイクルを目標化。スターバックスは2018年7月、全世界全店舗で2020年までにストローをプラスチック製から紙製に切り替えると発表し、翌月にはすかいらーくも2020年までの切り替えを発表した。

 アメリカン航空は機内で竹製のストローを提供し、マリオット、ヒルトンはホテル内、ウォルト・ディズニーはテーマパーク内でプラスチック製ストローの追放に動いている。紙製ストローの単価はプラスチック製のほぼ10倍だが、マクドナルドでは「物言う株主」から環境経営の観点で変更要求があったという。

 UNEP「Single-use Plastics」によれば全世界で年間1~5兆枚が消費されるプラスチック製レジ袋は、国を挙げて禁止・規制する動きが活発化している。2008年のルワンダ、中国、2011年のイタリア、2016年のインド、2017年のケニアなどに続き、2018年はブルネイ、韓国、チリ、モンゴル、ルーマニア、ニュージーランドなどが次々と禁止に踏み切った。米国は海に面したカリフォルニア州、ハワイ州、グアム、ニューヨーク市が独自に規制を実施している。

 UNEPの報告書によれば、海洋汚染につながるようなプラスチック製品の生産を禁止したり、使用に課金などの規制をかけたりしている国・地域は67を数える。2019年から2020年にかけて、さらに増えそうだ。

廃プラスチックを道路の舗装材にリサイクル

 生活に密着したストローやレジ袋がやり玉にあがるが、「悪役」と言っても悪いのはプラスチックという物質それ自体ではない。問題は、リサイクルが技術的に可能なのに十分なされず、大量の廃プラスチックがそのまま海に流れ込み海洋汚染を引き起こしている現状にある。

 UNEPの報告書によるとプラスチックのリサイクル率は全世界平均14%で、2014年に最初のレジ袋消費削減指令を出すなど規制が厳しい欧州連合(EU)平均でも30%足らず。それを高めることで、これ以上の危機は回避できる。

 リサイクル率は、回収の促進や技術開発だけでなく、リサイクルしたものの「売り先(市場)」も準備しなければ高まらない。

 リサイクルの方法には、プラスチックをそのまま材料として再利用する「マテリアルリサイクル」、化学原料として利用する「ケミカルリサイクル」、燃やして火力発電やセメント製造の熱源として利用する「サーマルリサイクル」の3種類がある。現在の主流はサーマルリサイクルだが、これは燃焼時にCO2が出るという問題がある。一方、プラスチックを加工して再利用するマテリアルリサイクルなら、CO2の発生はより少なくなる。

 その一つとして最近、世界的に注目されているのが廃プラスチックを道路舗装材に活用するリサイクルである。アスファルト舗装の路面は、正確にはアスファルトに骨材を混ぜた「アスファルト混合物」が敷かれている。骨材には砕いたアスファルト、砂利、砂、石灰が使われることが多いが、その代わりに細かく破砕した廃プラスチックを使うことも可能。世界のどこでも道路は基本的な公共インフラなので、売り先(市場)としては申し分のない規模を持っている。

 現在この分野で世界をリードするのはヨーロッパで、英国スコットランドのMacRebur社は廃プラスチックを破砕してアスファルトの「骨材」として利用する技術を開発した。同社によるとプラスチック混合アスファルトは従来のアスファルトより軽いが、耐久性が増して6倍長持ちするという。2016年から英国をはじめトルコ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどへ導入の動きがひろがっている。

 なお、オランダのVolker Wessels社は2015年、廃プラスチックを「レゴ」のような箱状のブロックに加工して道路に敷き詰める別の方法の「PlasticRoad」を発表した。これは従来のアスファルト舗装に比べて約3倍の耐久性があるという。ロッテルダム市が自転車専用道路で導入を計画している。

 インド、タイ、インドネシアでは国内企業が独自に技術開発を進めており、政府のバックアップを受けて実際に国内で施工している。インドはプラスチック混合アスファルトの道路延長がすでに10万キロを超え、南部カルナタカ州政府は、道路舗装でプラスチックをアスファルトと混ぜて使用するよう義務化した。ガーナ政府は同国のNELPLAST社が開発した廃プラスチックを砂と混ぜブロックに加工し道路に敷く方法を普及させて、リサイクル率70%達成を目指している。

【次ページ】リサイクル優等生の日本でも普及するか?データで見る廃プラ活用

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