- 会員限定
- 2017/11/02 掲載
スマートヘルスケアとは何か? 医療業界の未来を変える4つのテクノロジー
「スマートヘルスケア」とは
フロスト&サリバンの調査によると、「スマートヘルスケア」はスマート関連市場の14.6%を占める。そして、スマート関連市場のうち「スマートヘルスケア」に取り組む主要プレーヤーは、インテル、IBM、グーグル、クアルコム、マイクロソフト、サムスン、アップル、フィリップス、GEヘルスケア、アテナヘルス、ハネウェル、オムロンなどである。
これら企業が提供している「スマートヘルスケア」とは、具体的にどのようなものなのだろうか。
まず、「スマート技術」の中でよく目にする例として挙げられるのが、IoT(モノのインターネット)、 仮想・拡張現実(Virtual Reality / Augmented Reality)、ビッグデータなどである。
スマートヘルスケア商品・サービスは、こういった技術を用い、本来対面でしか行えないような医療関連サービスを遠隔操作などの機能で便利にしたり、データ収集・管理を自動化したりする。その結果、医療現場で起こる人件費が最適化され、コミュニケーションコストなどの削減にもつながる。
特に現在では、「病気になってから治療する」という伝統的な治療方針から、「病気にならないよう健康を維持する」という予防医療へのパラダイムシフトを実現するために、スマートヘルスケアが活用されている。
具体的には、「オンライン健康モニタリング・診断用デバイス」や、「eヘルス(エレクトロニックヘルス)」「mヘルス(モバイルヘルス)」「コネクテッドメディカルデバイス」の導入などだ。
スマートヘルスケアのプレーヤーには2種類ある
スマートヘルスケアの主なプレーヤーには2種類ある。1つ目は、患者、医師、医療機関管理者、保険者、医療関係機関などの、スマートヘルスケアの取り組みに積極的に参加し、その普及により直接・間接的に利益を得るようなプレーヤーである。こういったプレーヤーの役割は、医療業界において需要側と供給側それぞれの立場からスマートヘルスケアを促すことだ。2つ目は、技術の研究開発に投資したり、スマートヘルスケアの適用により自社の商品・サービスが影響を受けたりするステークホルダーである。それぞれのステークホルダーは、下記の3つのタイプのいずれかに当てはまる。
①金銭的な投資を行うことにより、技術と商品の開発を支援するステークホルダー
ベンチャーキャピタル、大手製薬会社およびバイオテク・ナノテク企業などのプレーヤーが主にこの種類のステークホルダーだ。
②スマートヘルスケアデバイスおよびソフトウェアの開発、製造、販売およびアフターサポートを提供するステークホルダー
医療機器とスマートヘルスケアソフトウェアを扱う販売・製造業者とその仲介者が中心だ。
③新たな技術を発明したり、既存のスマート技術がもたらす効果と改善点を分析したりするステークホルダー
これは、大学、臨床研究機関やスタートアップが果たす役割だと考えられる。
こういったステークホルダーによるエコシステムが図に示されているように技術を取り入れることで、ヘルスケア業界は、「スマート」に進化してきた。
具体的には、80年代にオーストラリアやイギリスなど各国により取り入れられた「患者マスターインデックス(Patient Master Index)」といったデータベースから、90年代の「インフォマティックス」導入への発展があった。2000年代には「電子カルテ(EMR)」が、2010年からは「eヘルス」「mヘルス」に変わり、そして、現在の「スマートヘルスケア」に至っている。
【次ページ】スマートヘルスケアを支える4つのテクノロジー
関連コンテンツ
PR
PR
PR