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  • 2019/02/14

西粟倉村と平戸市が挑む自治体ICO、野口悠紀雄教授「成功すれば財政構造を転換」

岡山県西粟倉村と長崎県平戸市で仮想通貨技術を使って資金調達する「自治体ICO」の導入検討が進んでいる。財政が厳しい地方自治体の新たな資金調達手段として期待を寄せており、西粟倉村は村、平戸市は市と連携した民間団体の主導で実施を目指している。しかし、金融庁は投資家保護の観点からICOの規制を検討中で、導入に制約がかかる可能性を否定できない。投資家に利益を与えられる事業を打ち出せるかも、実現に向けた大きな課題だ。一橋大の野口悠紀雄名誉教授(経済学)は「成功すれば地方財政の構造を大きく転換させるだろうが、国の動向がはっきりせず、実現は容易でない」とみている。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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山あいにのどかな山村風景が広がる岡山県西粟倉村。ICOの実現には国の規制方針が大きな影響を与えそうだ
(写真:筆者撮影)

西粟倉村は村の主導で資金調達、地方創生事業を支援

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 岡山県の北部、中国山地に抱かれた人口1,500人足らずの西粟倉村。ローカルベンチャーを起業する若者が全国から集う地方創生の先進地として知られているが、今度は全国の自治体で初めてICOの導入検討を始め、注目を集めている。

 構想によると、村内の民間企業などが西粟倉トークンエコノミー協会を設立し、「西粟倉コイン」と呼ばれるトークンを発行する。トークンとはそのシステムの中だけで通用するデジタル権利証で、投資家がトークンを仮想通貨で購入することによって資金調達する仕組み。村は協会に役員を出し、事実上の村主導で運営する方向で検討を進めている。

 西粟倉コインを購入した投資家は、村に関係する複数の事業候補の中から期待を持てる案件に投票し、選ばれた事業に資金が配分される。資金は村の財政と切り離して管理されるが、村で事業をある程度絞り込むなど監視機能を持たせる方針だ。

 投資対象となるのは地域活性化につながる事業。事業の概要をまとめたホワイトペーパーは、仮想通貨業界の自主規制ルールが作成され、金融庁の規制方針がはっきりした段階で具体化させる計画。西粟倉村産業観光課は「ICOで調達した資金で自立した経済圏を育成したい」としている。

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岡山県西粟倉村のICO計画
(出典:西粟倉村ニュースリリース)

平戸市は民間団体が中心となり、トークン発行

 西粟倉村に続いてICOの検討に入った平戸市は、人口約3万2,000人。九州の最西端に位置し、ユネスコの世界文化遺産に登録された長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産を抱える。ICOは民間のフィランドコイン協会が市と連携しながら進める計画。仕組み自体は西粟倉村と大差ないが、市が前面に立たない点が異なる。

 想定している事業は世界遺産の保護や観光の資源化、特産品の開発、訪日外国人観光客誘致の促進、起業支援など。観光を中心にして持続可能な地域づくりを進める考えだ。

 事業の方向性は自治体が進める地方振興策と重なる部分が大きい。民間がこうした事業を推進することで、市は限られた予算を他の分野の事業へ振り向けることが可能になる。

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長崎県平戸市のICO計画
(出典:チェーントープニュースリリース)

 フィランドコイン協会の井上翔一朗代表は「市と連携を密にしながら、平戸の未来を築く事業をICOで進めたい」、平戸市文化交流課は「民間の活動をサポートし、地域に役立つ資金を集めたい」と期待している。

【次ページ】背景に潜む自治体の深刻な財政難

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