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  • 2013/10/25

スマートシティ事例、柏市の未来型交通システムとビッグデータ活用がもたらすもの

千葉県柏市では、東京大学などと連携し、世界最先端の未来型交通システムの実装を目指している。環境にやさしい次世代モビリティ(乗り物)の開発に加え、交通ビッグデータを活用することで、柏市の交通状態を可視化し、市民の環境への意識を高める狙いだ。「柏ITSスマートシティ」が実現すれば5万トンのCO2削減が可能になるとの試算もある。最新の日本型スマートシティへの取り組みの現場を取材した。

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

編集などの仕事を経て、カード業界誌の版元において、雑誌編集、プランニング、セミナー、展示会などの運営に携わる。電子決済、PCI DSS/カードセキュリティ、ICカード、ICタグなどのガイドブック制作を統括。2009年11月にマーケティング、カード・電子決済、IT・通信サービスなどのコンサルティング、調査レポート・書籍の発行、セミナー運営、ポータルサイト「payment navi(ペイメントナビ)」「PAYMENT WORLD(ペイメントワールド)」などのサービスを手掛けるTIプランニングを設立した。

専用ゴーグルとタブレット端末で自動車から排出したCO2を可視化

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 千葉県柏市は人口40万人を有し、3つの鉄道路線、高速道路、そして物流センターが集まる交通の要衝だ。その反面、幹線道路は慢性的な交通渋滞にさいなまれているほか、新線ができるのに伴って、新しい住民が流入しているため、都市構造に大きな変化も起きているという。

 東京大学、千葉大学、国立がんセンターといった学術・研究機関が集積する柏の葉キャンパスエリアでは、2008年に国際的な学術都市づくりを目指す「国際キャンパスタウン構想」を策定した。また、2011年には内閣府により「環境未来都市」に選定され、新たな街づくりが進められている。

 柏市としても、2009年6月に内閣府の社会還元加速プロジェクト「情報通信技術を用いた安全で効率的な道路交通システムの実現」にて「ITS実証実験モデル都市」に選定。最先端のITS技術を活用し、「低炭素型都市交通の実現」、「高齢化社会・都市構造の変化に対応したモビリティの確保」を実現させる取り組みを目指し、公・民・学の52団体より柏ITS推進協議会を設立した。

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CO2排出量をタブレット端末で可視化できる
 柏ITS推進協議会では、交通ビッグデータ活用技術により、柏地域の交通状況を持続的にモニタリングすることを目指している。その際に、特別な機材やデータを利用するのではなく、以前からあるインフラを活用して交通状況をモニタリングし、それを地域社会にフィードバックすることにより、住民の自発的な気づき、それに基づく環境にやさしい行動への変容を後押ししていきたいとしている。さらに、行動変容を支える移動手段、交通システムを開発する考えだ。

 また、2014年春をめどに「ITS地域研究センター」(仮称)の構築を進めている。同センターでは、持続可能な交通状況のモニタリング、情報の統合・加工、そして市民向け生活活動情報配信システムの提供などを考えている。

 持続可能交通状況モニタリングは、既存の路側ライブカメラやナンバープレート識別センサなどを利用して交通課題の解決を目指す。また、各道路ネットワークや各種交通センサデータ、プローブデータなどを共通の時空間基盤上で管理し、高度な活用を可能とするデータベースを構築することで、柏市全体のCO2の流れを計算するという。

 さらに、柏市内の道路に設置されている路側ライブカメラやナンバープレート識別センサなどを活用した交通流動状況のモニタリングを行い、車両から排出されるCO2を算出する社会実験を行っている。

 交通状況の可視化としては、複合現実感(Mixed Reality: MR)技術を用いた専用ゴーグルとタブレット端末(CO2見える化スコープ)を使用することで、自動車から排出されたCO2の排出状況を誰でも分かりやすい形で閲覧することができるという。


スマートフォンアプリ「KASHIWA SMART」で環境にやさしい行動を喚起

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スマートフォンアプリ「KASHIWA SMART」でのCO2の状態を確認できる
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街のために実施している地域活動や実証実験に参加することでポイントを貯めることが可能な「柏の葉キャンパスカード」
 また、「KASHIWA SMART」のWebサイトでは、現在や過去のCO2発生量を「CO2スコープ」「道路別CO2スコープ」「CO2排出グラフ」等で配信。独自開発したスマートフォンアプリ「KASHIWA SMART」により、「道路地図上にCO2排出量が最も少ない経路」「最短時間での経路」「最短距離での経路」の3種類の経路を記録する。

 Android搭載スマートフォンのGPS機能を利用し、自身の交通行動を記録し、CO2排出量とCO2排出量の最も少ない経路を比較することができる。これにより、たとえばCO2排出量が多い日は、環境にやさしいルートや移動手段を利用することが可能となる。

 移動・交通を支える情報環境の整備に向けては、2013年3月から柏市地域情報サービスのWebアプリ「KASHIWAP」のトライアルを開始。日常の情報提供に加え、緊急時のために市内140カ所の避難場所情報も掲載している。さらに、柏の葉キャンパスに設置されたデジタルサイネージでは、街のエネルギーや防災、バスの運行情報など、生活に関するさまざまな情報をリアルタイムで配信している。

 また、非接触ICカードを利用した地域共通カード「柏の葉キャンパスカード」を発行。2013年10月から「柏の葉キャンパスプログラム」と連携し、スマートフォンアプリ「KAHIWA SMART」の実験参加者にはアプリの使用回数に応じてポイントが付与される取り組みを展開。貯まったポイントは、都市交通サービス「マルチ交通シェアリング」や自転車共同利用サービス「かしわスマートサイクル」の利用時などに使用することができるという。今後は、地域商店街でのポイント支払いも検討している。

【次ページ】気づきや行動変容を起こすビッグデータ

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