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  • 2014/07/26

スラムダンクから学ぶリーダーシップ “モチベートする言葉”の本質とは何か(後編)

連載:名著×少年漫画から学ぶ組織論(11)

「モチベートする言葉」とは、甘やかす言葉ではなく、また「突き放す言葉」でもない――。私たちが「組織がうまく機能していない」という実感を持つ時、果たして、どのような視点で考えればよいのだろうか、有効な対策はあるのだろうか?今日の社会を生きる誰しもが向き合わざるを得ないこの課題に対して、「孫子兵法」と「SLAM DUNK」という二つの作品を通して、リーダーシップ論の視点で、現代社会におけるヒントを探る。

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

前編はこちら。

孫子兵法で語られるモチベーションとは何か

 組織におけるモチベーションや、それに基づく構成員の統率という問題は、孫子兵法においても最も重要な要素だ。「謀攻篇」では、「勝利を得るための五つの要点」の一つとして以下のように語られている。

上下の欲を同じくする者は勝つ。

(孫子兵法 謀攻篇より)

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「SLAM DUNK」に登場する指導者がここぞという時に発する「モチベートする言葉」の本質とは?
 戦争にあたって将軍が「当事者意識が高く、やる気に満ちている状態」であるのは当然として、兵士からしたら戦争とは、「駆り出された」というその時点で根本的に「他人ごと」である。専門的な訓練を十分受けていれば違うだろうが、それが不足した部隊は言ってしまえば「烏合の衆」でしかない。

 これをノウハウとして詳しく語っているのが「行軍篇」の一節であるが、そこで解説されるのは、組織における「賞罰」の原則である。

卒未だ親附せざるに而もこれを罰すれば、則ち服せず。服せざれば則ち用い難きなり。卒已(すで)に親附せるに而も罰行なわれざれば、則ち用うべからざるなり。故にこれを合するに文を以てし、これを斉(ととの)うるに武を以てする、是れを必取と謂う。

(孫子兵法 行軍篇より)

 兵士がまだ将軍に親しんで付き従っていないのに罰が厳しいと、納得しないので言うことを聞かない。逆に、兵士が将軍に親しんで付き従っている状態でも、罰則がなければ、気が緩んで誰もいうことを聞かない。軍隊の上下が一体となって動く状態を生み出すためには、信頼、親しみを生み出す「文=人望」と、厳密な運用を可能とする「武=強制力」の両方が必要である、という意味である。

連載一覧
 これは組織運用の本質を言い当てた一節であり、何の間違いもない。しかし、今日のマネジメント用語で捉えると、これは「外発的動機付け」と呼ばれるものしか語っていない。行軍篇で語られるこの組織運用法は、将軍がいかに兵士を統率するか、つまり、いかに動機を「外から」付けるか、という視点に限定されている。

 これは、現代において「モチベーション」が重視されている状況とは、少し違っている。今日、私達が「モチベーション」という言葉を使うとき、「内発的動機づけ」、つまり人々の心の内側から、自発的に湧き上がるものがイメージされることが多いのではないだろうか。

 これは案外重大な要素であり、例えば「背水の陣」という故事を考えた時に、孫子兵法的な世界観の残酷さを知らされるのである。

【次ページ】「背水の陣」でモチベーションを保てるか?

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