開閉ボタン
ユーザーメニュー
ユーザーメニューコンテンツ
ログイン

関連ジャンル

  • 会員限定
  • 2015/03/04

CSVとCSRの違いは?ネスレも取り組むポーター教授の差別化戦略の本質

事例や図解でフレームワーク解説

昨今、社会性に目を向けたさまざまな概念や活動が根付き、頻繁に耳にするようになりました。ソーシャルビジネス、社会起業、プロボノ、コーズリレーテッドマーケティング…。そして、これらに加えて、企業に徐々に浸透してきたのが、「CSV (Creating Shared Value)」です。この考え方は、実は日本で古くからあった商慣習である「三方よし」にもつながる考え方です。具体的な事例とともにご紹介しましょう。

佐倉 優子

佐倉 優子

大手メーカー等にてマーケティングを担当。その後、事業再生コンサルティングに従事。

CSVとは
CSV (Creating Shared Value)とは、2011年にハーバードビジネススクールの教授であるマイケル・E・ポーター氏とマーク・R・クラマー研究員が発表した論文『Creating Shared Value』(邦題『経済的価値と社会的価値を同時実現する共通価値の戦略』)で提唱されたものです。日本では、「共通価値」「共有価値」などと訳され、CSR(Corporate Social Responsibility)の発展形と言われることもありますが、ポーター教授いわく、CSVとCSRは似て非なるものです。CSVは、企業にとって負担になるものではなく、社会的な課題を自社の強みで解決することで、企業の持続的な成長へとつなげていく差別化戦略なのです。

CSVは競争優位につながるのか?

photo
マイケル・E・ポーター教授
 CSVとは、企業が経済条件、社会状況や課題を改善することにより、企業自体の生産性も高まるという考えであり、1991年にポーター教授が発表した「ポーター仮説」「イノベーション・オフセット」という概念を前提としたものでもあります。

 ここでいう「ポーター仮説」とは、「適正な環境規制は、規制を実施していない地域の企業よりも競争力の面で上回る。規制が企業の効率化や技術革新を促している」という企業の国際競争力についての仮説です。

 日本の歴史を具体例として、少しかみ砕いて説明しましょう。

 かつて高度成長期の日本は、有毒な汚染物質等による健康被害や生態系へのダメージなど、深刻な公害問題を内包していました。企業の社会的な責任が問われ始めたのは、この頃からでしょうか。

 その負の歴史を教訓として、環境規制が急速に強化されることにより、企業はこれら社会的な課題へのニーズに対応する形で、環境技術のイノベーションを起こし、先進的な環境技術や省エネ技術を生みだしました。これは企業責任という枠を超え、その社会的価値のある環境技術が新しいビジネスへと発展し、その後の日本企業の競争力の源泉ともなりました。

 このように、社会的な課題とはビジネスの機会でもあるのです。CSVでは、この課題解決がイノベーションを創出する源泉であり、ポーター教授は社会と企業が対立しない「新しい資本主義」であるとしています。

CSVとCSRは何が違うのか?

連載一覧
 一方で、ポーター教授は「寄付や社会貢献を通じて自社イメージの向上をはかるこれまでのCSRは、事業との相関性はほとんどない」としています。

 CSVとCSRとは社会性という意味では似ていますが、端的に言うと、CSRは守りのイメージです。社会や環境への自社の責任として害を低減する、ステークホルダーと良好な関係を生み出すものですが、どの会社でも同じような活動をしています。

 一方、CSVは、攻めのイメージです。その企業の持つ強み(経営資源・専門性等)を活かし、資本主義の原理に基づいて、ビジネスとして社会問題を解決するという視点であり、その点で、CSRとCSVでは大きく異なっています。

画像
CSRとCSVの違い

【次ページ】CSVを実践する企業の具体例とは?

競争力強化 ジャンルのトピックス

競争力強化 ジャンルのIT導入支援情報

PR

ビジネス+IT 会員登録で、会員限定コンテンツやメルマガを購読可能、スペシャルセミナーにもご招待!