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- 2015/08/04 掲載
ランチェスター戦略とは何かをマンガでもわかりやすく解説、中小企業が「大企業に勝つ」方法を理解する
事例や図解でフレームワーク解説
戦力に勝る「強者」と戦力の劣る「弱者」にわけ、それぞれがどのように戦えば戦局を有利に運べるのかを考えるための戦略論。「同じ武器なら勝敗は兵力数で決まる」という前提をもとにした「強者の戦略」と「弱者の戦略」に分けられる。もともとは第一次世界大戦での航空戦から生まれたが、現代では実践的なマーケティング理論として活用されている。
ランチェスターの法則は、1914年に勃発した第一次世界大戦をきっかけに、イギリスのフレデリック・W・ランチェスター氏が航空機による空中戦の損害状況を研究しはじめたことから生まれました。ここで述べられているのは「同じ武器なら勝敗は兵力数で決まる」ということ。
これをもとに、アメリカのコロンビア大学数学教授であるバーナード・クープマンらによって、軍事戦略モデルとして改良されました。戦後になり、コンサルタントの田岡信夫がビジネスに応用し、「販売戦略」として展開。その後、高度成長期以降には、実践的なマーケティング理論として活用されています。
以下の動画ではマンガでわかりやすく解説しています
ランチェスター戦略の本質
第一法則は伝統的な一騎打ちを前提としたものです。たとえば、同じ武器を持つA軍5名とB軍3名が戦った場合、最終的にA軍とB軍の損害は同じで、A軍が2名残って勝ちます。数に劣るB軍が負けていながら、なぜこれが弱者の戦略と呼ばれるのかは、このあと説明します。
一方、第二法則は一騎打ちではなく、近代兵器による遠隔戦やより広範な戦いを想定したもので、その場合は攻撃力は兵力の2乗になるというものです。先の例で言えば、A軍5名とB軍3名が戦った場合、A軍の戦力は5^2(25)、B軍の戦力は3^2(9)。5^2-3^2=4^2となります。すなわち第二法則に基づいてA軍とB軍が戦うと、A軍はなんと4名も生き残ることになります。
したがって、数に勝るA軍は第一法則にあるような一騎打ち・近接戦を避け、第二法則にあるような広範戦・遠隔戦をしたほうが損害が少なくて済むということになります。それが、第二法則が強者の戦略と呼ばれる理由です。一方で、弱者は第二法則の事態に陥らないよう、なるべく近接戦を行うべきというのが、第一法則が弱者の戦略と呼ばれるゆえんです。
いずれの法則にも共通しているのは、「同じ武器なら勝敗は兵力数で決まる」ということ。では、数で劣る中小企業は大企業には絶対に勝てないのか、というと決してそうではありません。強者というのが必ずしも大企業というわけではない、というのがランチェスター戦略のポイントだからです。
ランチェスターは強者を「マーケットシェアが1位の企業」と定義しています。そこで生まれてきたのが次の3つの戦略です。
1つ目はどんな市場でもいいので「シェアナンバーワンを目指すこと」です。売上ナンバーワンの大企業でもすべての市場で全勝というのは難しいものです。市場を細分化し、自分が1位になれる地域や領域、ターゲット、商品で戦いを挑むのです。細かくすればするほど、中小企業でも勝てる可能性が高まります。
【次ページ】ランチェスターで躍進した企業とは
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