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  • 2015/10/16

栃木県宇都宮市の次世代型路面電車(LRT)計画が発進! 全国の自治体が注目するワケ

栃木県宇都宮市と芳賀町は、両市町内で運行を計画している次世代型路面電車(LRT)の運営主体となる第3セクター会社「とちぎ県央LRT株式会社(仮称)」を近く設立する。市中心部から東部の交通渋滞緩和が目的で、人口減少と高齢化社会の進行に備え、コンパクトシティの実現も視野に入れている。市民の間でLRT計画の撤回を求める声もあるが、両市町は9月議会で出資のための補正予算案が可決されたのを受け、2016年度の着工、19年度の開業を目指している。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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福井鉄道が運行するLRT(FUKURAM)
(写真:tecking/flickr

LRTとはどのような乗り物か

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 LRTはLight Rail Transitの略で、次世代型路面電車や軽量軌道交通と訳される。これまでの路面電車に比べ、車両の床が低く、障害者や高齢者が乗り降りしやすいのが特徴。フランス、ドイツなど欧州を中心に普及している。

 鉄道やモノレールに比べると、車両費が安く、高架も不必要なため、建設費が安く済む。1両当たりの輸送可能人員は鉄道より少ないものの、バスより多い。二酸化炭素排出量が他の交通機関より少ないうえ、低騒音なのが長所だ。

 宇都宮市によると、新会社の資本金は1億5,000万円。開業前に地方公共交通を整備するために国が出資する新制度も利用し、10億円に増資する。両市町のほか、地元企業や宇都宮商工会議所、芳賀町商工会などが出資する予定だ。

 社長には宇都宮市長の佐藤栄一氏、副社長には芳賀町長の見目匡氏が就く。職員数は当初、数人で立ち上げ、開業時に本社、運転、工務部門など合わせて99人体制に増やす計画。

 路線は当面、市中心部のJR宇都宮駅東口から大通りを東へ進み、鬼怒川を越えて市東部の宇都宮テクノポリスセンターに至る12キロを優先整備する。宇都宮駅前付近は片側3車線の道路中央部にLRTの路線を敷き、乗り場を設置する。

 市は宇都宮駅から栃木県庁や市役所、東武宇都宮駅付近を通り、桜通り十文字まで3キロの整備構想を持っており、東側の運行実績を見たうえで検討する。

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現在検討中のLRT導入区間
(出典:宇都宮市資料)


慢性的な交通渋滞緩和に期待

 市は人口52万人を抱える北関東最大の都市。関東地方で唯一、テクノポリスに地域指定され、市の東部に大規模な内陸型工業団地が多数、整備されている。その結果、市東部の交通渋滞が慢性化し、市民の悩みの種となってきた。

 自動車検査登録情報協会のまとめでは、栃木県内1世帯当たりの自家用乗用車普及台数は、3月末現在で1.6台。どこへ行くにもマイカーを利用する県民性が、市内の交通渋滞に拍車をかけている。

 このため、市は県とともに1993年から新交通システムの導入について調査を進めた。その結果、浮上したのがLRT。整備費がモノレールの2~3割で済み、低床で高齢者が利用しやすいことが決め手となった。

 その後、長引く不況やリーマンショックの影響で計画が滞っていたが、2012年の市長選で佐藤市長がLRT整備を公約に掲げて当選し、一気に実現へ向けて動き始める。翌年には全15キロの路線案を発表、測量や設計など準備を進めてきた。

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