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- 2017/06/23 掲載
「壊れない」「燃費」だけじゃない!スズキ・スイフトに日本車進化の可能性が見えた
連載:クルマの未来
1965年、東京都生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。理論に加え実際のメカいじりによる経験から、クルマのメカニズムや運転テクニックを語れるフリーランスの自動車技術ジャーナリスト。最新エコカーから旧車まで幅広くメカニズムを中心に解説を行っている。WEBでは『日経テクノロジーonline』(http://techon.nikkeibp.co.jp/)や「MONOist」(http://monoist.atmarkit.co.jp/)、『Response』(http://response.jp/)などに寄稿。近著は『カラー図解エコカー技術の最前線』サイエンス・アイ新書)。『図解カーメカニズム パワートレーン編』(日経BP社刊)日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
新プラットフォームの威力まざまざ
プラットフォームの設定は、シャーシを共通化することで開発コストを抑えながら基本性能を高めることができるメリットがある。それはこれまでの例から常識化しつつあるものだが、スズキが作り上げたプラットフォームは、思った以上にスイフトを進化させていた。
個人的な経験から言わせてもらうと、軽自動車から立ち上がりコンパクトカーを手がける自動車メーカーは、コストダウンや軽量化のために、コンパクトカーであっても軽自動車に近い作りをしがちだった。
先代までのスイフトで言えばフロントドアも剛性不足でウインドウを全開にするとドアパネルのインナーとアウターを指で摘まむとフワフワと簡単に歪み、リアドアの閉まる時の音もパーンと軽い響きで、これらが良いクルマなのに安っぽく感じさせてもいた。
しかし、新型はリアドアの閉まる音もドンと重厚な響きになった。軽量で剛性の高いプラットフォームに伴って、ボディシェルの無駄のない作りが建て付けを良くしたのだろう。こうした建て付けの良さは当然、走りにもいい影響を及ぼすものだ。やはり走らせてみると、これが実にいいのである。
試乗のメインは欧州仕様の足回りに仕立てたRSグレード。もっともこれはスプリングやスタビライザー、ブッシュなどは通常グレードと同じまま、ダンパーの減衰特性を見直したもの。アベレージスピードが日本より高く、路面状況もさまざまに変化する欧州では、何より操安性が重視されるから、総じて乗り心地は硬めであることが多い。
ダンパーだけを締め上げると動きにくい足回りになるので個人的にはあまり印象が良くないのだが、スイフトの場合は重心やロールセンター(クルマが傾こうとする支点の高さ)が丁度いいこともあって、引き締まった乗り味ながらロール感もそこそこあって、ほど良い踏ん張り感がある。おそらく、もっと走り込んでダンパーがこなれてくればしなやかさが出て、さらに走りが楽しく快適になるだろう。
パワーユニットは2種類用意されていて、1.2LのマイルドハイブリッドにCVTの組み合せと、1.0Lの3気筒ターボにATの組み合せとなっている。1.2Lは直噴エンジンに近い仕組みのスズキ独自のデュアルジェットエンジンでエンジン単体でも軽量化を推し進めるのはもちろん、直入率(噴射した燃料が直接燃焼室に入る割合)をさらに高める工夫が施されており、燃費改善を図っている。
【次ページ】クルマの軽さを感じさせる軽快感に溢れる走り
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