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  • 2019/02/14

2019年「医療×IT」の2大潮流、ヘルスケアビジネスの新たなブルーオーシャンとは

2019年に入りまだ1カ月ですが、LINEとエムスリーが共同でオンライン診療事業に参入したり、アップルの医療サービス立ち上げが取り沙汰されたりと、ヘルスケアビジネス領域はすでに大きく動いています。シンガポールで医師プラットフォームの運営に携わり現在は医療AIスタートアップの役員を務める筆者から見た「2019年注目のヘルスケアビジネス」について本稿で解説します。

医療AIスタートアップ役員 田中大地

医療AIスタートアップ役員 田中大地

医療AIスタートアップ、アイリス執行役員CMO。NewsPicks医療介護領域専門家。新卒リクルート、ベンチャーを経てヘルスケアITメガベンチャーSMS社へ。認知症領域で医療メディアを立ち上げ、約半年で60万MAUの領域No.1メディアに成長させる。その後アジア最大の医師プラットフォーム企業買収に伴い、初期PMIメンバーとしてシンガポールへ、同Web部門のヘッドとして事業開発。 帰国後、AI機器機器開発ベンチャーに参画、合わせて複数の医療ヘルスケア企業の支援を行う。ブログ「アジヘルのヘルスケアビジネス考察日記」にてヘルスケアビジネスに関する情報を発信中。

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2019年、ヘルスケアビジネスはどう動くか
(©maxsim - Fotolia)


医療機関の業務はテクノロジーで改善する

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 医療、ヘルスケアビジネスにIT、スタートアップ各社の注目が集まり久しいですが、それに伴いこれまで中心だった人材紹介や医療機関向けSaaSといった比較的ライトな領域が徐々にレッドオーシャン化し、参入難易度が上がっています。他方、AIなどのテクノロジーの発展・実用化と、現場課題の分かる医療者のビジネスシーンへの参画が加速してきたことを背景に、2019年はより臨床現場に近い「医療の本丸」をテクノロジーで変えていくビジネスが盛り上がるだろうと予測します。

 2018年までより臨床現場に近い「医療の本丸」とテクノロジーの掛け合わせということで、具体的には2つの領域に注目しています。

 1つめは、「テクノロジーを活用した医療機関を自ら運営する」という業態です。今年1月、一部医師の時間外労働の上限を年間1900~2000時間程度とする制度案を厚労省が提示して話題となりましたが、一般企業がテクノロジーやリモートワークを活用し働き方改革を進める中、医療業界においてはまだ大きく変わる様子が見られません。

 医療そのものは日進月歩で進化しても、個別業務においては、まだPHSやFAXによるコミュニケーション、非リモート・オンプレ前提の医療機関が多数を占めていることが現状です。ビジネスの現場がSlackを始めとするチャットツールの登場で大きく働き方が変わったように、医療機関も必ずテクノロジーによる業務の改善余地があります。

 もちろん、医療行為のすべてが効率化できるわけではありません。目の前に苦しむ患者さんがいたら、そこに効率化を問うことが正義とは言い切れません。

 しかし、働き手が減少する中で、構造的に医療需要は増え続けるため、このまま医療者のボランタリー精神に依存したやり方では、サステイナブルな医療供給にいつか限界が訪れるでしょう。どの部分の業務であれば、テクノロジーで代替可能かあるいは不可能かを意識的に考えていくことが大切です。

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医療機関のテクノロジーの導入による改善余地

 こうした課題を解決しようと、AI問診のUbie社のように、テクノロジーによって医療機関のオペレーションを改善しようと取り組む企業が現れてはいます。しかし、複雑化しきった既存の業務フローを「外から、後から変えていく」ことは非常に難易度が高く、セールスサイクルは長くなりがちです。

 長年やり続けて慣れ親しんだやり方を、突如新しいシステムの導入で変更します、と言われて嫌な思いをしたことをある人は一般企業で働く人にとっても少なくないはずです。しかもそれが、どこぞのIT企業から「医療現場の無駄な業務を効率化しませんか」と言われても、医療者からしてみれば「臨床現場を知らない人に何が分かるんだ」という反応になるのは当然です。

 こうした理由で、医療機関の既存の業務フローを外から変えることは、決して簡単にはいきません。

業務フローを「中から、ゼロから設計する」

 そこで、業務フローを「中から、ゼロから設計する」というアプローチで、実際に自ら医療機関を運営する企業が増えていくだろうと確信しています。テクノロジーの活用を前提とした業務フローを設計し、最初から医療者がやる必要のない業務をなくしてしまうのです。

 たとえばiPadやネット上で事前問診をした内容を自動で電子カルテに反映されるようにしておけば、医師は問診内容を再度電子カルテに記載する必要がなくなり、患者の前情報が分かった上で診療に臨める、といった具合です。ここで使用されるテクノロジーは内製でも、外部企業の開発したものを取り入れても構いません。

 こうして、業務フローと中で使うシステムをセットにパッケージ化した医療機関を複数横展開する、という流れが来ると考えています。テクノロジーや、現場業務のアウトソース化によって業務が効率化/外部化され、医療者は本来最も時間を割くべき人対人のコミュニケーションに注力できる、というわけです。

 実際にこうした思想でクリニック運営を行うビジネスにおいて、資金もついてくる流れがきています。

 たとえば、年中無休の小児科クリニックチェーンを運営するCAPS社に500 Startups Japanが、外科手術に特化したクリニックを運営するSDPジャパン社にEight Roads Ventures Japanが、また田町でテクノロジーを活用した次世代クリニックの構築を目指すLinc’well社にIncubateFundが、それぞれ出資するなど、ヘルスケア領域に知見の深い各VCからの出資が加速しています。

 現在は資金面の理由から数千万円規模から立ち上げられるクリニックが中心ですが、今後は改善余地がさらに大きい病院もその対象となっていくでしょう。

【次ページ】2つ目の要注目領域は「スタートアップ」の動き

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