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  • 2016/03/03

ホンダの自動運転への取り組み、「ASIMO」のロボット技術はどう活かされているのか

近年、交通事故による死亡者は減っているものの、昨年また増加に転じている。交通渋滞の視点では、高速道路は緩和に向かっているが、都市部の一般道は相変わらずだ。走行速度が遅くなれば、当然CO2の排出量も多くなる。ホンダの研究開発機関である本田技術研究所の杉本洋一 上席研究員は、「渋滞は環境に悪影響を及ぼすだけでなく、11兆円もの経済損失にもつながる」と指摘。杉本氏はこうした社会課題を解決するために、ホンダが取り組んでいる自動運転技術と、その先の未来を語った。

自動運転のベースとなる運転支援システムへの取り組み

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 ホンダの自動運転技術の開発は、1980年代に遡る。基礎研究を1986年から開始し、その成果として都市の限定空間で自動運転が可能な実験車を開発。1990年代には、上信越・小諸間で磁気を帯びたネイルを路面に打ち込み、それをトレースする自動運転実験が行われた。

 2000年代に入ると自律用センサー技術が進化し、2010年以降、一般道や高速道路での本格的な実験も始まった。ホンダは2014年にデトロイトで開催されたITS世界会議のショーケースにおいて、高速道路で自動運転車の合流・車線維持、車線変更・分岐などのデモを行った。

 杉本氏は「このように自動運転はパッと出てくるものではない。その背景にある運転支援技術を着実に進歩させ、ようやく実現できるものだ。十分な信頼性が確保されたものから自動運転が始まるだろう」と切り出した。

 ホンダは自動運転によって最終的に事故ゼロを目指しているが、そのためには「衝突安全」「認知支援」「事故回避」といった技術や、危険に近づかずに安全を維持する「運転支援」の技術が必要だ。それらの技術が進化することで、ようやく事故ゼロの自動運転が実現できると見ている。

 同社は2003年に世界初となる自動ブレーキ技術を世の中に出した。

「これはドライバーに対して警報を発するが、それに気づかない場合には自動ブレーキが働き、事故を回避する技術だ。また横方向の制御では、アコードのフロントウインド上部にカメラを搭載し、車線を維持するレーン・キープ・アシストシステム(LKAS)を採用し、運転の負荷を軽減した」(杉本氏)

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Honda SENSINGのイメージ

 2014年には「Honda SENSING」として従来技術に機能を追加し、前方・後方・側方の全方位にわたる先進安全運転支援技術を導入している。

「このHonda SENSINGの特徴は、カメラとレーダーの2つのセンサーをフュージョン(融合)していること。カメラ映像には、物体の属性や位置などの情報量が多い。一方、レーダーは長距離の物体や相対速度の検知が可能だ。それぞれのメリットを生かせば、より高いレベルの運転支援が行える」(杉本氏)

「歩行者事故低減ステアリング」や「路外逸脱抑制機能」など初めての技術も

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本田技術研究所
四輪R&Dセンター
第12技術開発室
上級研究員
杉本 洋一 氏
 現状の自動運転システムでは、回避支援技術として、追突事故での被害軽減ブレーキ(CMBS)に加え、世界初の「歩行者事故低減ステアリング」や、日本初の「路外逸脱抑制機能」なども搭載している。

 歩行者事故低減ステアリングは、カメラとミリ波レーダーで歩行者を検知し、歩行側への車線逸脱と歩行者の衝突を予測した場合に、警報とステアリング制御で回避を促すものだ。ドライバーの居眠りや意識喪失などで、運転不能な状況に陥った際に有効な機能だ。

 また路外逸脱抑制機能は、カメラが走行車線を検知し、車線を逸脱しそうな場合にステリング振動による警報と操舵支援を行う機能だ。逸脱量が大きくなるとブレーキも制御し、路外逸脱を抑制する。ステアリングだけでは制御しきれないカーブなどに役に立つ。

 一方、未然防止としては、LKASに加え、「先行車発信のお知らせ機能」や、渋滞追従機能付きで車間距離を維持する「アクティブクルーズコントロール」(ACC)、さらに「標識認識機能」も追加している。

 安全運転のコーチングには、同社独自のネットワークを活かし、通常のカーナビでは把握できないナビ関連情報を、「internavi(インターナビ)」にて提供している。

「200万人以上の会員情報をサーバーにアップし、急ブレーキをかける頻度が多い交差点を全国で1万4000地点ほど抽出した。潜在的に気をつけたい場所をマップに示し、さらにユーザーの経験知も集めている。こういった情報は県警にも提供し、道路構造を改造することにも一役買っている」(杉本氏)

 路車間通信技術(V2I)を利用した信号情報活用支援システムも開発している。これは、道路インフラから配信される信号情報を活用し、走行状況と信号状況に応じて円滑な運転を支援するものだ。

「信号待ちの場合は、赤信号の残り時間と発進予告を提供し、発進遅れを防止する。赤信号で停止する際には、アクセルをオフするタイミングを提示する。青信号で通過する際には、推奨速度を示す。交差点を通過するときに不必要な加減速が減り、事故の未然防止や燃費の改善に役立てられる」(杉本氏)

【次ページ】二足歩行ロボット「ASIMO」で培った技術を自動運転に活用

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