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- 2014/11/10 掲載
日産 行徳セルソCIOが語るグローバルIT戦略、デジタル化した組織を支えるIT組織とは
2005年からのグローバルIT戦略で、ITインフラの標準化と最適化を目指す
IT側ではこれらを支えるために、2005年からの日産バリューアップに合わせてグローバルIT戦略の「BEST Program」をスタートさせた(~2010年)。Business Alignment(=調整、調節)、Enterprise Architecture、Selective Sourcing、Technology Simplificationの頭文字を取ったもので、端的にいえば、ITインフラの標準化と最適化を目指したものだ。
「Gartner Symposium/ITxpo 2014」で登壇した行徳氏は、その狙いを次のように語る。
「2005年から5年かけて、ワールドクラスのIS/ITを目指した。それまでのシステムはカスタマイズされたものだらけで標準化されたものが無かった。当然ITコストも高かった。そこでエグゼクティブコミッティにBESTプログラムを提案した」
実は行徳氏が日産自動車に入社したのが、まさにこの2005年。同氏は今年でちょうど10周年を迎えることになる。参考までに日産ではアプリケーション部分をIS、インフラ部分をITとし、それらを併せてIS/ITと呼んでいる。
まず「BEST Program」のBusiness Alignmentの取り組みについては、しっかりとしたグローバルガバナンスを確立し、TCOの方法論を使ってITコストの可視化を図り、そしてビジネス側との連携強化を目指した。
Enterprise Architectureについては、グローバル規模でのシステム標準化/最適化を目指した。そこでそれまでフルアウトソーシングだったITをインソーシングに切り替えることを決め、ビジネスにとっての重要性/運用コスト/テクニカルクオリティ/ファンクショナルクオリティの4軸でアプリケーションを評価して、最適化を図った。またEnd to Endのビジネスプロセスを定義し、そこに最適化したアプリケーションを適用してPDCAサイクルを回すことで、エンタープライズアーキテクチャの確立を狙った。
Selective Sourcingでは、選択的/戦略的なソーシングの実現を目指して今後のあるべき姿を議論し、社内ではどのプロセスを責任を持ち、どの部分を外部に出すのかを検討した。また発注先のベンダをコントロールするCross Functional Towerという組織を設け、オフショア開発も導入した。
そしてTechnology Simplificationは、ITインフラをサーバ/ストレージ、メインフレーム、エンドユーザーコンピューティング、テレコミュニケーションの4つの領域に分け、各々どういうロードマップで標準化、共通化を進めていくかを明確にした。
「この5年間で4131のプロジェクトを実施し、1,000億円の投資に対して、2,304億3700万円のリターンを獲得することができた。また404個のアプリケーションを削減し、標準化も80%まで達成した。ワールドワイドにおける大きな指標の1つだったユーザー一人当たりのコストも109万円から63万円へと、35%以上のコスト削減を達成した」
【次ページ】ビジネス価値の最大化を目指す7つのイノベーション
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