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2016年12月02日

マイケル・ポーター教授が語るIoT競争戦略、そこになぜ「ヒト」が必要なのか

IoTの登場が、ものづくりの常識を変革するとともに、企業の競争のルールを大きく変えようとしている。IoT時代に企業は何からどのように取り組み、そしてどのような組織で実現していけばいいのか。5フォース分析で名を馳せた競争戦略の第一人者、ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授が来日し、IoT時代の競争戦略について語った。

執筆:ビジネス+IT編集部 松尾慎司

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ハーバード大学 経営大学院 教授
マイケル・ポーター 氏

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 「PTC Forum Japan 2016」に登壇したポーター教授はまず、「ITが生み出した競争」の変遷を振り返った。第1の波は1960年代、社内に閉じた業務効率化への取り組みだ。第2の波は1980年代、インターネットにより企業同士の連携が実現した。そして第3の波がスマート製品(スマートコネクテッドプロダクト)の登場だ。

「テクノロジーが製品自体に組み込まれ、製品による価値の生み出し方が拡大した」

 ここでポーター教授が例として取り出したのがテニスのラケットだ。一見、何でもないラケットだが、加速時計やジャイロスコープなど、さまざまなセンサーが組み込まれているという。これにより、そのラケットで行った動作、たとえばスピンなのかバックハンドなのかフォアハンドなのかといったデータはすべて取得可能になる。

 このラケットはBluetooth接続機能も備え、これを通じてインターネットにつながることも可能だ。クラウド上に記録したデータを集積できる。そしてこのデータはスマホやタブレットなどで閲覧できるというわけだ。

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何でもないラケットの柄の部分にバッテリなどが入っている


 ポーター教授は、こうしたスマート製品だからこそ実現できることは4つあると指摘する。1つ目はモニタリング、2つ目は制御、3つ目はモニタリングと制御をもとにした最適化、4つ目はさらにそれを推し進めることで実現する自動化だ。

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スマート製品特有の4つの特徴


 高度な機能を備えたラケットだが、PTCのヘプルマンCEOはこれでもまだ不十分であると指摘する。その理由は「ヒトを中心に考えていないから」だ。すなわち、ラケットを使う人は、せっかくラケットでデータを得ることができても、それを見ながらテニスができないのである。

 ヘプルマンCEOは「人間には人間にしかできない仕事がある」と強調する。イレギュラーな問題への対応や高度な判断、創造性、奇抜さ、批判的思考などはヒト特有のもの。フィジカルとデジタルだけを考えるのではなく、フィジカル、デジタルに人間を加え、最大の成果を目指してそれぞれの強みを生かすことを考えるべきだと説く。

 そこで、デジタルとフィジカルの「橋渡し役」が必要になるのだが、それが「AR(拡張現実)」だ。ARを使って、そのラケットにカメラを重ね合わせたときにラケットで得られたデータを表示させることができれば、より人間を拡張することができるとヘプルマンCEOはいう。「ARにより人間はより優れた判断がより短時間で可能になる」。

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ラケットにカメラを重ね合わせることでデータを得ることができる。実際はウェアラブル端末の利用を想定しているという


 これは自動車の運転でも同様で、わかりにくいカーナビの意味を考えるよりは、クルマのフロントガラスに次に行くべき場所を示してくれたほうが確実に安全だし、わかりやすい。

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日本企業も数多く取り組んでいるが、自動車のフロントガラスにAR情報が表示されるようになれば人の能力を拡張できる


 ポーター教授はいう。「ARが競争戦略でどういう意味を持つのかというと、人が情報をフル活用できるということだ」。ARはスマート製品をさらに拡張する存在だと位置付けるのである。IoT時代の競争戦略を考えるうえで示唆に富む両氏の講演の詳報は後ほどお届けする。

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