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  • 2019/06/04

物流とIT、両方の現場で働いて痛感した──トラックドライバーがこんなに不人気な理由

連載:「日本の物流現場から」

物流危機は、いよいよ社会的な課題になってきている。消費地や取引先にモノが「運べない」、もしくは「運んでくれない」という悲鳴が、日常的に聞こえるようになってきた。物流危機の背景には「深刻なトラックドライバー不足」がある。2018年4月における全産業の有効求人倍率が「1.35」に対して、トラックドライバーの有効求人倍率は「2.68」だった。求職者1人あたり、2~3件の求人がある。これは、そもそもトラックドライバーになりたがる人が少ないことに起因する。なぜ、トラックドライバーは不人気な職業なのか。物流とIT――トラックドライバーとWebビジネスの両方を経験した筆者が考察する。

物流・ITライター 坂田 良平

物流・ITライター 坂田 良平

元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。

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平均よりも約2倍、人が足りていないトラックドライバー。問題点はなにか

(©naka - Fotolia)


原因1:イメージが悪い

 少し前に放送されていた某缶コーヒーのCMでは、「キム兄」こと木村祐一さん扮(ふん)する大型トラックドライバーが、同窓会においてトラックドライバーであることをやゆされるシーンが登場する。

「トラックドライバーかぁ、かっこいいなぁ。日本の物流を支えちゃっているってわけだ!」

 筆者は、元トラックドライバーである。同じ経験をしたことがある。

 「学級委員長だったお前が、なぜトラックドライバーなんてやっているんだ!」

 きっとその同級生は、彼なりに私のことを心配したのだとは思う。私は、CMの主人公と同じように言い返すこともできず、心にもやもやとしたものが残った。

 知り合いのトラックドライバーは、子供の授業参観の前に、先生に頼みに行ったそうだ。授業参観のテーマは、「お父さんの職業」。お父さんの職業について、児童たちが発表することを知った当人は「ドライバーだと知られると恥ずかしいので、うちの息子に発表をさせないでください」と先生に頼んだという。

原因2:長時間労働と低賃金

 トラックドライバーの年間所得額を確認しよう。全日本トラック協会発行の『日本のトラック輸送産業 現状と課題2018』によれば、2017年における中小型トラックドライバーの平均年間所得額は「415万円」、大型トラックドライバーの平均年間所得額は「454万円」である。

 一方で、年間労働時間はどれくらいだろうか。全産業の平均年間労働時間が「2136時間」であるのに対して、中小型トラックドライバーは「2592時間」、大型トラックドライバーは「2604時間」となっている。

 時給換算すると、全産業平均時給は「2299円」である。中小型トラックドライバーは「1601円」、大型トラックドライバーは「1743円」となる。単純計算ではあるが、トラックドライバーの給与は、世間の平均よりも24~30%も安いことになる。

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平均労働時間と平均時給の比較
出典:筆者作成

原因3:生命の危険がある職業である

 残念ながら、トラックドライバーという職業であり、運送の現場は3K(キツい、汚い、危険)と世間的にはみなされているのであろう。

 「キツい」「汚い」はともかく、「危険」であることは確かだ。自動車運転そのものが、自分と他人の生命を脅かす可能性のある行為ではある。よりサイズと重量の大きいトラックを運転するトラックドライバーの場合、その危険性は普通乗用車の比ではない。

 そのリスクのわりに、前述したように給与や世間からのステータスといった対価が恵まれていないのも、トラックドライバーの現実である。これでは、トラックドライバーの成り手が少ないことも致し方ないのかもしれない。

【次ページ】ブラックでも人が集まるIT業界、ホワイト化しても人が集まらない運送業界

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