負担が大きいハウス内の夜間見回りを解決したい!
ネポンは、1948年の創業以来、「みんなが豊かな生活に」をモットーに、施設園芸を主とする農業分野、熱電源器を扱うエネルギー分野、環境配慮型トイレを扱う衛生環境分野などを柱に事業を展開してきた。特に同社の施設園芸用温風暖房機「ハウスカオンキ」は、累計30万台を超えるロングセラーのヒット商品として業界で知らないものがいないほど有名な存在だ。そして同社は近年、農業用ハウス向けの監視サービス「農業用ハウス向けなんモニ」をスタートし、業界に新たな一石を投じている。
以下、ネポンのエンドユーザーとして「農業用ハウス向けなんモニ」を導入した冨山農園(茨城県・東茨城郡)の事例について紹介しよう。同農園では農薬を制限した「エコ栽培」や、土壌分析による土づくりに積極的に取り組み、高品質なトマトや米を生産している。農園には大型ハウスとパイプハウス×各8連棟があり、年間55トンという大量のトマトを出荷。寒さが厳しい11月中旬から7月後半までは農業用ボイラーが設置された大型ハウスを利用し、それ以外の8月中旬から11月中旬まではパイプハウスでトマト栽培を行っているという。ほぼ一年中にわたり生産に励む毎日だ。
そんな冨山農園では、トマトを生産するうえで、いくつか解決しなければならない悩みがあった。「トマトは、冬場にかけてハウス内で苗を生育させますが、北関東の冬は氷点下になる日が多いのです。寒さに弱い苗は、氷点下では枯死してしまいます。そこで農業用ボイラーによってハウス温度を一定に維持・管理していますが、実はそれでもまだ安心できる状況とはいえません。万が一、ボイラーが何らかのトラブルで停止すると、ハウス内の苗が全滅することになりかねないからです」と同農園の冨山典之氏は語る。
もちろん農業用ボイラー自体が故障して停止することは滅多にない。とはいえ落雷による突発的な停電や、重油タンク(ボイラーの燃料)のバルブ開け忘れによる人的な燃料供給断など、稼働を停止させる要因がないわけではない。冨山氏は「このような不測の事態が起これば、家族と同じような想いで手塩にかけて育ててきたトマトが一度でダメになってしまいます」と強調する。自宅近くにハウスがあれば、トラブルに気づくことも可能だが、自宅から離れた場所にハウスがある農家も多い。また、もしハウスが近くにあったとしても、温度が下がる深夜時間には就寝しているため、ハウスの変化に気づかないことがほとんどだという。
これに対し、「農業用ハウス向けなんモニ」を提供するネポンの武藤明義氏は、次のように説明する。
「これまで警報システムがない農家では、氷点下の予報や霜注意報が出されたら、夜でも数時間おきに起床して、ハウスの状態を見回りに行く必要がありました。そのため生産者は十分に就寝できず、非常に大きな負担になっていたのです。以前から我々は施設園芸用の温風暖房機や警報システムを農家に提供してきた関係で“ハウス内のトラブルに対応できる新しい通報システムが欲しい”というお客様の強いご要望を数多くいただいておりました。」
そして他の農家と同様の事情を抱えていた冨山農園も、同社の監視サービスを導入する運びとなった。
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