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  • 2012/10/29 掲載

Internet of Thingsとは何か?「モノのインターネット」で変貌する世界の今と未来

ヒト・場所・情報・モノがつながる

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未来の世界を想像すれば、データだけでなく、人間の意識やライフログ、さらにはセンサーや家電、果ては家具や建築物、薬など一見ITとは無関係なものも含めた“モノ”が生成するトラフィックが、インターネットで繋がって、さまざまな相互作用をもたらしている姿が浮かび上がる。こうした世の中の変化を表す言葉として、「Internet of Things(IoT、モノのインターネット)」というキーワードが2010年頃より注目されている。いま、我々の生活はどのような変化を遂げているのか、また企業のCIOはこうした変化にどのように取り組めばよいのだろうか。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

既に画期的な実例が登場している「Internet of Things」の世界

 1990年頃から普及し始めたインターネットの第一段階は「情報のインターネット」の時代で、主にWebサイトがインターネットを介してデータベースに繋がっているという状況だった。それが今では、人が加わった「情報と人のインターネット」へとフェーズが移ってきている。いわば我々一人ひとりが恒久的にインターネットに繋がっている時代だ。

 これがさらに進むと、「Internet of Things」の時代がやってくる。ガートナーの調査によれば、「情報のインターネット(Internet of Information)」から「Internet of Things」に移行するに従って、現在100億以上にのぼるインターネット接続されているデバイスの数は、2020年頃には300億以上に膨れ上がり、同時にモノが生成するトラフィック量のほうが情報やヒトが生成する情報量より遙かに多くなるという。

photo
あらゆるモノがネットワークにつながる社会が到来しつつある
(出典:ガートナー,2012)


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 Gartner Symposium/ITxpo 2012で登壇した米ガートナーリサーチのマーク・ラスキーノ氏は、既に現れている「Internet of Things」の事例として、医療現場で起きているトピックを紹介した。

 それは、小さなチップが埋め込まれたスマートピルという薬だ。チップはジェル状になって錠剤の上に乗っており、人が薬を飲むと胃の中でジェルが溶けてチップが起動し、胃酸を使って電気を発生させ、非常に小さなプログラムを走らせることが可能となる。そして数メートル離れたところにあるレシーバーに向けて、無線でメッセージを送信する。

 このチップが発信するメッセージはただ1つ、“薬は飲み込まれ、患者の胃の中で消化されました”というもので、つまりスマートピルは、高齢者や記憶が薄れてきている人など、きちんとした生活を営むことが難しくなってきている人たちが、他の薬ではなく、本来飲むべき薬をきちんと飲んで、それが消化までされた、ということを証明する。

「こうした例は、非常に面白いクリエイティビティが、既にInternet of Thingsの中で実現されていることを如実に物語っている。」

「Internet of Things」を実現するさまざまなテクノロジー

 続いてラスキーノ氏は、「Internet of Things」に関するガートナーのハイプサイクルを提示した。

画像
Internet of Things(モノのインターネット)に関するハイプサイクル
(出典:ガートナー,2012)


 ハイプサイクルとは、あるテクノロジーが市場からどのような評価がされるのかを時系列に沿って示したもの。このハイプサイクルの中から、ラスキーノ氏は「Internet of Things」に関わるテクノロジーの例をいくつか紹介した。たとえば現在安定期にマッピングされている車両のテレマティクスは、トラックなどの位置情報を追跡するための技術で、既に成熟した事業の中で認められたものとなっている(参考リンク:M2M導入事例:テレマティクスによる車両運行状況の見える化が日本テクノにもたらしたもの)。

「今では自動車メーカーが自動車を販売する時、GPSを利用したテレマティクスサービスも一緒に販売している。これはInternet of Thingsをどう成熟した市場で利用しているかの実例だ。」

 また、今は幻滅期にあり、これから啓蒙活動期に向かうテクノロジーとして、自動車to自動車通信が挙げられる。集中管理室は不要で、各車両がお互いにそれぞれの場所で通信することを可能にするものだ。

「ある一定地域に分散した複数の車両が、どこで渋滞が起こっているのかといった情報をお互いにやり取りするためものだが、この仕組みはかなり複雑になるので実装されるのはもう少し先になるだろう。」

 さらにピーク期では「Internet of Things」において、最も重要な考え方があるという。それが複雑系イベント処理だ。

 たとえば、あるごみ箱がもう少しで一杯になるという時、近くにゴミ収集車がいれば、現行ルートを変えて自分(=ゴミ箱)のところまで来てもらうようにルート設定を行うようにしたいと思うだろう。しかしこれを実現するためには、膨大なイベントメッセージを収集/整理し、その中で必要となる組み合わせを論理的に計算し、リアルタイムで結果を出す必要がある。

「これを実現するための演算ロジックは非常に難しいし、ソフトウェアやハードウェアの高い性能も要求される。今すぐに成し遂げられるものではないだろう。」

 このように「Internet of Things」に関するテクノロジーで、啓蒙活動期や安定期にあるものはまだ少なく、黎明期からピーク期にあるものが大多数を占めているが、裏を返せばこの先2年から10年の間に、関連した技術はどんどん成熟してくるということだ。「Internet of Things」の時代はそう遠い将来の話ではないといえる。

【次ページ】IT担当者がInternet of Thingsに接する5つのフェーズ

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