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  • 2014/06/05 掲載

ホンダのテレマティクス戦略、クルマはIoT・M2MやICTでどこまで安全に走行できるのか

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Internet of Things(IoT)やM2M(Machine to Machine)のコンテクストでも語られる「テレマティクス」。通信技術の進化や低価格化などにより、クルマのトラブルや、故障、不具合などを把握する技術として改めて期待を集めている。こうしたなか、外部パートナーとの連携で、新しい価値を創出する取り組みを行っているのが本田技研工業(以下、ホンダ)だ。同社グローバルテレマティクス部 サービス企画開発室の田村和也 室長が、同社のテレマティクスへの取り組みの歴史から最新のデータ活用方法、さらに外部サービス事業者を巻き込んだテレマティクス戦略について解説した。
フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

ホンダにおけるテレマティクスの歴史

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本田技研工業
グローバルテレマティクス部
サービス企画開発室
室長
田村 和也 氏
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 「Data Business for Connected Vehicles Japan 2014(Telematics Update主催)」に登壇した田村氏はまず、テレマティクスの歴史を振り返りながら、ホンダの開発の経緯について紹介した。

 もともとテレマティクスの技術は、ナビゲーションシステム(カーナビ)が基点になっている。「Electro Gyrocator」という世界初のカーナビを同社が発表したが1981年のこと。この当時は、まだ地図にアナログのOHPシートを利用していたという。

 そして1990年代に地図がデジタル化され、さらに8年後には車両に通信機能が搭載されるようになった。そこで同社は2002年にナビゲーションをベースにした「インターナビ・プレミアムクラブ」をスタートさせる。

 しかし、まだ当時は携帯電話が通信の主役だった。通信料金がユーザーの負担になり、普及の足かせになっていた。そこで2010年からホンダは、3Dコミュニケーションのモジュールとしてドングルを用意し、これをナビに取り付けてサービスを提供するようにした。直近では、スマートフォン上でカーナビを展開する「インターナビ・リンク」に拡大し、さらに普通乗用車だけなく、EVや二輪車などにも適用しているところだ。

 現在、ホンダのテレマティクス・サービスは、基本的に4つのカテゴリーで構成されるという。田村氏は、「まず“ナビゲーション”があり、緊急コールや盗難追跡を行う“セーフティ”や、最適ルート選択によってCO2削減を目指す“環境への取り組み”、クルマの内部情報からメンテナンスや遠隔故障診断などを行う“顧客へのリレーションシップ”が柱になっている」と説明する。


クルマ情報の活用、安全・安心なセーフティマップや省燃費ルートづくり

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スマートフォン用アプリケーション「インターナビ ポケット」のイメージ
(出典:報道発表資料,2012)

 では実際にクルマ内部を見たとき、具体的にどのようなサービスが行われているのだろうか。インターナビでは、クルマの位置情報やスピードなどが、情報センター側にアップリンクされていく。それらのユーザー情報を公共の交通情報(VICS)とマージすることで、VICSがカバーしきれない場所でも面的なカバレッジを広げ、交通情報を提供できるようにしているのだ。これは、2003年10月からスタートしているものだが、最適なルート計算ができるようになっている。

 またクルマから集められたデータは、交通情報に利用されるだけなく、安全領域での適用も検討されているそうだ。「我々は防災研と共同で研究を進め、地震の際に道路損壊による通行可避を提示できるようにした。これは3.11の大震災のときに役立ち、通行実績情報として活用された」(田村氏)。

 またクルマのフローティング情報をベースに、急ブレーキポイントを移動情報から抽出する「Safety Map Project」も進めている。


 このほか、事故多発地点、学童が通学する交差点など、運転時に注意すべき危ない道や街の情報を公開。これらの情報は、カーナビでもスマホでも情報が取得できる。

 次に、クルマを安全に移動するという側面からのデータ活用がある。セーフティ&セキュリティにおいて、事故自動通報を行う「eCall」や、盗難車追跡における情報収集は欠かせないものだ。


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「クルマがどこで事故を起こし、ドライバーがどのように反応しているのかという情報をサービスプロバイダーと共有すれば、救命の迅速化も図れる。本サービスについては、国内だけでなく、米国・カナダ・中国、タイ(展開中)などでもサービスインしているところだ」(田村氏)

 一方、エコルート(省燃費ルート探索)による環境への取り組みも重要だ。ホンダでは、すでに省燃費ルートをつくる計算ロジックを確立し、実際の燃料消費量の情報も提供中だ。スピードと燃費の関係や、加減速と燃費の因果関係などを見ながら、地図データベースを起こし、それを基に道のルート計算を行う。

 田村氏は「これにより、通常のカーナビと比べて、燃費もCO2量も削減できるようになった。ある目的地に着くまでに、最短経路でなく時間が少しかかるものの、燃料消費では約18%、CO2エミッションでは約24%も削減できた」と強調した。

 環境の取り組みといえば、もちろんEV(電気自動車)の活用がある。EVに関わる情報をユーザーに対して提供し、安心して移動できるようにインターナル・データが活用されている。たとえば、移動可能な走行距離を示すバッテリ残量の提示や、充電スタンド場所の教示、あるいは外部からのリモートチャージ・トリガー機能などもサポートしている。

 またユーザーとの接点では「Remote Diagnosis」が用意されている。クルマの情報をセンター側にアップし、ディーラーやオペレーターに内容を提供していく。同様にアップされた情報は、ユーザー側にも迅速にフィードバックされ、車載ディスプレイやスマートフォンで表示される仕組みだ。「同じ情報を基に、オペレータを介して販売店へ誘導するサービスも用意している。これについては、すでにタイでサービスを展開しているところだ」(田村氏)という。

【次ページ】外部パートナーと連携し、新しい価値を創出するホンダの取り組み

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