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- 2011/09/05 掲載
テレマティクスとは何か?クルマのIT化を推進する基盤技術の基本を知る
キーワードは「スマートフォン」と「クラウド」
意外に古い、テレマティクスの歴史
そもそも、テレマティクスの元祖と言えるものは、政府主導で進められた「ATIS(アティス)」「VICS(ヴィクス)」に端を発する。ATISは95年にサービスを開始したもので、東京都などが出資する第3セクターの「交通情報サービス」によって運営され、主に警視庁からの交通情報を配信し、ATIS対応車載端末(カーナビ)で受信する仕組みだった。現在、ATISは携帯電話向け、パソコン向けに情報配信を行っている。
一方、96年からサービスを開始したVICSは、国土交通省が推進する「ITS(高度道路交通システム」構想の柱の1つとして発展を遂げた。道路の渋滞情報や所要時間に関する情報や事故、故障車、工事などの規制情報などをFM多重放送、高速道路の電波ビーコン、一般道の光ビーコンによって配信し、これをカーナビなどの車載機で受信・画面表示する仕組みだ。今では、VICSは交通情報提供サービスの代名詞としても広く普及している。
さらに、「ETC」の普及も政府のITS事業の成果の1つと言える。ETCは有料道路の料金所でキャッシュレスで料金を支払うための仕組みであり、今では全国の高速道路、主要な有料道路のほとんどがETC対応となっている。
このような政府主導型のテレマティクスとは別に、民間主導型のテレマティクスが登場するのは1997年のことだ。トヨタ自動車の「MONET(モネ)」、日産自動車の「コンパスリンク」、本田技研工業の「インターナビ」など、さまざまなテレマティクスサービスが立ち上がり、サービスを開始した。
これらのうち「MONET」は2002年に「G-BOOK」という新しいサービスにリニューアルされ、「コンパスリンク」は「カーウィングス」というサービスにアップデートされ、現在に至っている。これらのサービスは次第に利用者数を伸ばし、次第にテレマティクスの市場は民間主導に移行していった。
現在提供されている、主なテレマティクスサービス | |||
サービス名 | 開発会社 | 種別 | 提供先 |
G-BOOK | トヨタ自動車 | 乗用車向け | トヨタ自動車、ダイハツ工業、富士重工業、マツダ |
カーウィングス | 日産自動車 | 乗用車向け | 日産自動車、三洋電機(ポータブルナビ) |
インターナビ | 本田技研工業 | 乗用車向け | 本田技研工業 |
みまもりくん | いすゞ自動車 | 商用車向け | 汎用(いすゞその他の対応商用車) |
インターナビ・ビズ | 本田技研工業 | 商用車向け | 本田技研工業 |
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