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  • 2014/06/13 掲載

海運業界の世界ランキング:商船三井・日本郵船らは巨大化する欧州勢にどう対抗?

連載:あの業界のグローバルランキング

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価格競争の激化で、海を越えたアライアンスや経営統合が進む海運業界。伝統的に欧米が強く、コンテナ部門ではM&Aを積極化している欧州勢が上位を占める。もっとも、中国や台湾、韓国などアジア勢の追い上げも激しい。かつて「海運王国」と呼ばれた日本も気を吐くが、商船三井(MOL)、日本郵船(NYK)、川崎汽船(K-LINE)の御三家はいま、世界でどのポジションにいるのか。海運業界のグローバルランキングを見てみよう。

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

野澤 正毅:1967年12月生まれ。東京都出身。専門紙記者、雑誌編集者を経て、現在、ビジネスや医療・健康分野を中心に執筆活動を行っている。

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海運業界の世界ランキングはどうなっているのか?
(Photo/Getty Images)

経営規模を示すのはコンテナ船の積載容量が一般的

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 海運業とは、一般に船を使って旅客や貨物を海上輸送する事業のことだ。現在では、旅客船の活躍する場は限られているため、一般消費者の目に触れることは少なくなったが、貨物輸送については海が依然として主力のルートだ。生産拠点が世界各地に分散し、商品流通のグローバル化が進む昨今、実は海運業の存在感はむしろ増していると言える。

 とりわけ、貿易立国として発展してきた日本にとっては、海運業は欠くべからざるものだ。国際間の海運を「外航海運」と呼ぶが、外航貨物船には、コンテナ船、バラ積み貨物船、油送船(タンカー)、自動車船などさまざまな種類がある。

 海運会社は伝統的に非上場の企業も少なくない。そのため、売上高が明らかではないケースもあり、売上規模で比較されることは少ない。

 そのため、経営規模を示すものは数多くあるのだが、一般に通用しているのがコンテナ船の積載容量だ。海運会社にとって海上コンテナが、圧倒的に輸送量が多く、世界のどこでも流通しており、しかも、規格が万国共通だからだ。コンテナ船の積載能力やコンテナターミナルの貨物取扱数などを示す「TEU」(1TEU=20フィートコンテナ1個に相当)という貨物容量の単位で表される。

 このTEU単位での海運業界の世界ランキングは以下の通りだ。
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海運業界の世界ランキング

欧米勢が上位3社を独占、M&Aを繰り返し巨大化

 コンテナ船積載量で世界第1位の海運会社はデンマークのマースクライン。1904年創業で、世界最大の海運コングロマリット(企業複合体)といわれるA・P・モラー・マースクの中核企業だ。

 大型コンテナ船が得意で、効率的なコンテナ流通網を世界の津々浦々に張り巡らしている。並行して、M&A(企業合併・買収)を積極的に繰り返し、海運業界のガリバーとしての地位を不動にした。

 2006年には、世界有数の海運会社だった英国・オランダ系のP&Oのコンテナ部門を買収している。日本支社も戦後間もない1947年に設立。現在約200人の社員がいる(世界全体の社員数は約31000人)。港などで「青地に白い星」のマークがついたコンテナを見かけたら、それがマースクのコンテナだ。

 世界第2位の海運会社はMSC(メディタレニアン・シッピング・カンパニー)。おもしろいのは海のないスイスに本社があることだが、もともとイタリアが本拠地で、現在もイタリア人のオーナーが経営している。1970年創業の新興企業だが、合理主義経営で急成長した。日本法人のエムエスシージャパンもある。

 世界第3位のCMA CGMは1996年、フランスの大手海運会社であるCMAとCGMが経営統合して誕生した。2005年には同じフランスの大手海運会社のバルマスも合併し、巨大化した。CMAは国有化されていた時期もあり、リーマンショック後はフランス政府が経営再建を支援するなど国策色が強い傾向がある。

 これら世界のビッグ3に共通するのは、コンテナ事業に強いということ。コンテナは取扱う量が多いほど物流を効率化できる。スケールメリットを享受しやすいのだ。

 世界第6位はハパックロイド+CSAVだ。2014年2月にドイツのハパックロイドと、チリのCSAVが経営統合することで、6位に躍り出た。

【次ページ】主要船社、アライアンス別シェア

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