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  • 2010/08/03

業績好調企業が重視するIT、業績悪化企業が軽視するIT:中堅・中小企業市場の解体新書(18) (3/3)

業績の悪い企業が軽視してしまっているIT活用項目

 今度は逆のパターンを考えてみよう。以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、「業績に役立たないIT活用」の項目を尋ねた結果である。調査時期は先程と同様に2010年5月、集計方法も同様に2010年2~5月と比較した2010年6月以降の経常利益増減の見込みに応じてグループ分けしてある。

画像
図3 業績改善に役立たないIT活用

 この場合に注目すべきなのは、経常利益が減少したグループ(1段目や2段目の帯)で多く挙げられているのに、経常利益が増加したグループ(4段目や5段目の帯)で比率が低い項目である。業績の悪い企業は重視しなかったが、業績が良い企業は重視していた項目、つまり本当は重要なのに軽視してしまいがちな項目ということになる。

 それに当てはまるのが「サーバ機器交換による業務処理速度の向上」である。サーバ機器をはじめとするハードウェアは、IT投資削減の対象となりやすい。昨今は故障率も非常に低いため、リース期間を過ぎた旧式のハードウェアを再リースすることで、ITコストを削減するといった施策をとっている企業も少なくない。

 だが、同項目については経常利益の増加を10%以上見込む企業とは逆に、10%以上の減少を見込む企業とで10ポイント以上の差が見られる。古いハードウェアを使い続けることは一見するとコスト削減に寄与しているように見える。だが、その上で動作するOSやアプリケーションをそのまま使い続ければ、陳腐化による機能不足が起こす業務遂行上の競争力の低下、老朽化やサポート切れによる運用保守コストの増大といった事態が生じ得る。古いハードウェアを使い続けることは、その上で稼働するシステム全体の進化を止めてしまうことに繋がりやすい。

 業績の良い企業は、そうした点も踏まえたサーバ機器更新の重要性を理解している可能性が高いと考えられる。再リースなどの施策が本当に最善なのか?についてはハードウェアだけでなく、システム全体を俯瞰した視点で検討することが大切だ。

 また、もう1つ挙げられるのが「Web会議やIPテレフォニーによるコミュニケーション改善」だ。Web会議やIPテレフォニーは、通信費や出張旅費を節約するコスト削減手段とみなされることが多い。そうした効果ももちろんあるのだが、メールだけでは実現できない社内外の意思疎通の活性化といった業績改善にプラスになる活用方法もある。

 業績の悪い企業では、Web会議やIPテレフォニーを単なるコスト削減手段に留めてしまい、その先にある業績を伸ばすための活用にまで発展させることができていない可能性がある。その結果、業績のよい企業と比べて「業績改善に役に立たない」という回答比率が高くなってしまっていると考えられる。

 コスト削減を目的として導入したソリューションであっても、業績改善に役立つものがある。コスト削減と業績改善を対立軸で捉えず、既に投資したソリューションを多様な観点で見直し、活用してみるといった姿勢も重要だろう。

業績改善につながるIT活用を実現する3つのポイント

 経常利益とIT活用項目に関する調査結果を元に、どんなIT活用が業績改善に有効なのか?を見てきた。これらをまとめると以下のようなポイントが浮かび上がってくる。

ポイント1: 自社の本業に直結する業務を現場レベルで「見える化」することで改善を図る
ポイント2: サーバ機器などの基本インフラについては老朽化したものを無理に利用しない
ポイント3: ITソリューションはコスト削減と業績改善の両面で活用することを検討する

 結果だけを見れば当然のことと思われるかも知れない。だが、多種多様なソリューションが日々登場し、経済環境も目まぐるしく変わる昨今では、ともすると基本を忘れてしまいがちだ。業績との相関を踏まえた調査結果から導き出されたこの結果はごく基本的な教訓であるとともに、IT投資の優先度を考える1つの目安になるだろう。厳しい状況だからこそ、基本を地道に実践し続けることの重要性を再確認すべきなのではないだろうか。


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