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ITの管理/運用を担う人員が限られる中堅中小企業にとって、ハードウェアからソフトウェアまでを一括でケアしてくれる「トータルソリューション」は魅力的な選択肢の一つだ。しかし、単に複数の製品やサービスを寄せ集めれば良いというわけではない。本物の「トータルソリューション」を見極めるためにユーザー企業はどのような点に気を付ければ良いのだろうか?調査データを元にそれを探っていくことにしよう。
クラウドやモバイルによって重要性が増す「トータルソリューション」
旧来、企業における情報処理システムの主な活用場面は「社内」だった。
もちろん、以前からデータセンタを活用したり、社外からのリモートアクセスを利用したりというケースは存在していたが、多くの中堅中小企業にとってはサーバ上の業務システムをLAN経由でPCから利用するという形態が一般的だった。
そうした状況ではシステムの構築/運用で考慮すべき要素も限られており、ソフトウェア(業務システム)とハードウェア(サーバとPC)を一緒に調達できれば十分だった。
だが、クラウドが登場したことにより、社外に存在するサービスと社内の業務システムを併用する状況が生まれてきた。
さらにスマートフォンやタブレットの登場により、これまで以上に社外から業務システムを利用する機会が増えつつある。情報処理システムを取り巻く環境は複雑化/多様化し、考慮すべき要素も多岐に渡るようになってきている。
中堅中小企業がそうした様々な要素を自力で選別し、構築/運用のプランを立てることは容易でない。そこで「トータルソリューション」が必要となってくる。クラウドやモバイルの進展によって、「トータルソリューション」の重要性も高まっていく可能性が高い。
ではそもそも、「トータルソリューション」とはいったい何だろうか?冒頭では『ハードウェアからソフトウェアまでを一括でケアしてくれる』と表現した。ハードウェアとソフトウェアを一緒に販売していれば「トータルソリューション」なのだろうか?「トータルソリューション」を選べば、中堅中小企業は理想的なIT活用を実現できるのだろうか?実際の調査データで一つ一つ確かめていくことにしよう。
「商材の幅広さ」だけでは導入効果にそれほど差が出ない
情報処理システムの活用に際して、ユーザー企業が最も重視すべき事柄の一つは
「業務システムの導入効果」だ。どんなに費用をかけても期待した効果が得られなければ意味がない。「高い導入効果」が真の「トータルソリューション」が満たすべき条件ともいえるだろう。
では、ハードウェアやソフトウェアなどを一括して販売できることは「高い導入効果」=「真のトータルソリューション」の本質なのだろうか?
以下のグラフは年商100億円未満の中堅中小企業に対して、主要な委託先/購入先(普段からIT活用で取引のある販社やSIer)から最近導入した業務システムの導入効果を尋ねた結果である。
ただし、その結果は主要な取引先に対する評価に応じて、以下の2つのグループに分けて集計されている。
- 「業務システム導入の提案段階において、委託先/購入先を「幅広い商材を持っており、どんなことでも窓口を一本化して対応してもらえる」と評価したユーザー企業
- 「扱える商材が限られており、他の業者にも相談をしなければならないことが多い」と評価したユーザー企業
つまり、提案段階で幅広い商材を揃えられる販社/SIerと、そうでない販社/SIerとで、導入された業務システムの導入効果にどのような違いが出てくるか?を示した結果といえる。
2つのグループを比べてみると、「期待を上回る効果を得られた」と「ほぼ期待通りの効果が得られた」の合計割合は前者が66.9%、後者が63.7%であり、5ポイント未満のわずかな差となっていることがわかる。
つまり、業務システム導入の提案段階において、ただ単にハードウェアとソフトウェアを一括して提示するというだけでは、別々に提示された場合と比べて導入効果にはそれほど違いがないことになる。「複数の商材をまとめて提示する」というだけでは「高い導入効果を実現する真のトータルソリューション」であるとは必ずしも言えない可能性があるわけだ。
【次ページ】高い導入効果を実現する真のトータルソリューションの本質とは
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