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- 2013/09/30 掲載
トヨタ式に学んだIT業界の巨人たち──ジョブズ・デル・ベゾス
新連載:元トヨタの若松義人氏が執筆!ビジネス「改善」の極意
1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大字自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』 『「価格半減」のモノづくり術』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和出版)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。
トヨタのV字回復を支えたトヨタ式
日本の産業界を牽引してきたトヨタが再び勢いを取り戻してきている。2008年のリーマンショックと大規模リコールによってさすがのトヨタも赤字へと転落したが、その後の改革が実を結び13年3月期決算では1兆円を超える利益を計上し、自動車メーカーとして世界初となる生産台数1千万台も視野に入っている。
「われわれには帰るべき場所がある。」
企業が危機に陥った時、頼るべきは創業の原点である。トヨタにとってそれはトヨタ式であり、トヨタ式を愚直に徹底して実践することで危機を脱し、再び強さを取り戻したいというのがトヨタの意思だった。
こうした現状を打開するためには何が必要か。今こそV字回復を遂げたトヨタに学び、トヨタ式に学ぶ必要があると考えるが、今日でもトヨタ式を「自動車をつくるためのもの」と考える人たちからは「所詮はメーカーのためのものであり、それ以外には参考にならない」といった声が聞かれるのは残念でならない。海外に目を向ければ、トヨタ式に学び大成功をおさめた企業は案外と多い。
トヨタ式に学んだIT業界の巨人たち

アップルの創業者スティーブ・ジョブズも「僕は日本でカンバン方式(かつて「トヨタ式」をこう呼ぶ人もいた)の工場をたくさん見学したし、マックでもネクストでもそういう工場をつくった」と言っているように早くからトヨタ式に強い関心を持っていた。現CEOのティム・クックをスカウトした理由にも同氏がコンパック(現ヒューレット・パッカード)でトヨタ式の調達とサプライチェーンのマネージャーを務めていたことを理由に挙げているほどだ。
【次ページ】IT業界の巨人たちはトヨタ式の何に惹かれたのか
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