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  • 2014/07/09

買収に「30年」と「30分」があるなら、トヨタは例外なく前者を選ぶ

連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意

「継続は力なり」の大切さはみんなが理解しているところだが、企業やビジネスマンにとって「継続」とはいったいどのくらいの期間を指しているのだろうか。「石の上にも3年」という言葉があるほどだから「3年」は立派な継続と言えるのだろうが、一方で今日のように変化の速い時代には「3年」はあまりにも長すぎると感じる人も少なくないはずだ。トヨタ式改善にとっての「継続」が今回のテーマである。

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大字自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』 『「価格半減」のモノづくり術』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和出版)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。

買収に「30年」と「30分」があるなら、トヨタは例外なく前者を選ぶ

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 サッカーの監督には個性的な人物が多いが、日本代表を率いた監督の顔触れも多士済々だ。「ドーハの悲劇」で知られるハンス・オフトはワールドカップなど夢物語だった日本を「あと一歩」まで連れて行ってくれたし、イビチャ・オシムは今もたくさんの人を魅了してやまない「美しい言葉」を残している。

 2002年の日韓ワールドカップで、日本をベスト16へと導いたフィリップ・トルシエもこうした人たちに負けない個性的な監督だった。トルシエを推薦したのは名古屋グランパスの監督として成功した後、プレミアリーグのアーセナル監督となったアーセン・ベンゲルだ。

 当時、ベンゲルは日本サッカー協会の意中の監督だったが、アーセナルとの契約によって動けない。代わりに推薦したのが南アフリカ代表監督としてフランスワールドカップに出場したトルシエである。その特徴はA代表だけでなく、若手のユース代表を育て、オリンピック代表まで率いるなど、さまざまな年代の選手を延べ100人以上指導したところにある。

 トルシエにとってワールドカップとは、国をあげて取り組むべきプロジェクトだった。単に優秀な選手や人気のある選手を集めればいいというものではない。長期的な視点で、若い世代を含めて選手を育て、全体を底上げしていく。育成を含めて、あらゆる面でその国のサッカーを進歩させることが代表監督の務めだと考えていた。

「代表はサッカーのうまい11人、あるいは22人の寄せ集めではない。日本という国が長い時間をかけて育み熟成させてきたサッカー文化から出てきた最良の上澄みが日本代表だ」

 だからこそ、若い世代の監督を引き受け、成果も上げている。1999年、ワールドユース選手権ナイジェリア大会ではFIFAの国際大会としては日本代表に初の決勝進出(結果は準優勝)をもたらし、2000年のシドニーオリンピック大会ではメキシコオリンピック以来の一次リーグ突破を果たしている。

 強豪国になるには若い世代をきちんと育てなければならない。そしてサッカー文化を築かなければならない。トルシエに対する評価はさまざまだが、トルシエはこうした大切なものを日本に教えてくれた監督だった。

 「買収に『30年』と『30分』があるなら、トヨタは例外なく前者を選ぶ」は今から10年近く前にある新聞がトヨタの「人づくり」について評した一文である。当時、市場では派手な企業買収を得意とする企業があった。企業を時価総額で評価して、短期間のうちに買収をすることでグループの売上げや利益を急激に伸ばしていた。

【次ページ】トヨタ式改善とは単なるモノづくりのシステムではない

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