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  • 2014/08/15

言う通りやるやつはバカで、やらんやつはもっとバカ。もっとうまくやるやつが利口

連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意

トヨタ式を実践するうえで最も大切なことの一つが「人づくり」である。トヨタ生産方式というと、どうしても「モノづくり」のイメージが強くなるが、そこには「モノをつくる前に人をつくれ」が前提になっていることを忘れてはならない。トヨタ式改善のすべては「人間の知恵」によって進められる。改善によって「知恵ある人」を育て、育った人がさらなる改善を進める。このサイクルを回すことこそがトヨタ式の真髄である。

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大字自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』 『「価格半減」のモノづくり術』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和出版)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。

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連載一覧
 組織にとって人づくりほど大切なことはない。その大切さを経営学者ドラッカーはこう表現している。

「明日のマネジメントにあたるべき人間を、今日用意しなければならない」

 現在の世代は、明日のために次の世代を育てる。次の世代は、現在の世代が築き上げたものをベースとしながらも、その次の世代に向けて新たなものを築く。さらに、次代を担う世代をも育成する。

 組織は、死という人間の限界を乗り越える手段である。したがって、自らを存続させ得ない組織は失敗である。組織にとって何より大切なのは、常に明日のために人を育て、今日よりもより良い明日を築く変革であり、努力である。

 こうした人づくりを徹底することで100年以上に渡って革新企業であり続けているのがドラッカーとも縁の深いGE(ゼネラル・エレクトリック)である。伝説のCEOジャック・ウェルチが有名な「ナンバーワン、ナンバーツー戦略」によって事業の徹底した選択と集中を行ったのはドラッカーの影響だが、ウェルチは凄まじいほどのリストラを行う一方で、「明日のマネジメントを行うべき人間を、今日用意する」ことへの努力も怠らなかった。

 ウェルチにとって人材育成は高い競争力を保つうえで是非とも必要だった。本社にはフィットネスセンターやゲストハウスを建設し、1956年に設立されたニューヨーク州クロトンビルにある幹部研修センターを実に7,500万ドルもかけて大改造している。社員を削減しながらそんなことに大金を使うのかという声に、ウェルチはこう答えた。

「必要なのは最高の人材だけだ。最高の人材に対して、うらぶれた開発センターの牢獄のような部屋で4週間も研修を受けろとは言えない」

 1983年、改修費用が提案された時に添えられた投資回収分析表に、ウェルチは大きな「×」をつけ、こう書き直した。

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 その言葉通り、その後クロトンビルはGEで最も重要な「人材育成工場」になっていった。こうした環境から育ったのが現在のCEOジェフ・イメルトだ。

 イメルトはCEO就任直後から「9・11テロ」や「サブプライムローン問題」「リーマンショック」といった未曽有の危機を経験することになるが、それにもかかわらずGEの業績を伸ばし続けることに成功している。

 ウェルチというエネルギーあふれるリーダーが人づくりに情熱を傾け、そこからイメルトのようなエネルギーあふれるリーダーが誕生する。これを「リーダーシップ・パイプライン」と呼ぶそうだが、企業が長きに渡って革新企業であり続けるためには人が人を育て、リーダーが次なるリーダーを育てる仕組みが欠かせないのである。

【次ページ】自分を凌駕する部下を育てろ

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