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  • 2014/04/09 掲載

日立製作所の創業者 小平浪平氏に学ぶ、“失敗”の極意

連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意

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変化の激しい時代である。勝ち抜くためには新たな何かを生み出すほかはないが、挑戦やイノベーションにはしばしば「失敗」がつきまとう。だからこそ多くの企業で「失敗を恐れるな」「果敢に挑戦しろ」といった言葉がよく聞かれるが、風土としてそれがしっかりと定着している企業は案外少ないのではないだろうか。挑戦の風土をつくるには、失敗さえも糧にする仕組みづくりが欠かせない。

失敗からつかんだ「日本の日立」

photo
今や「日本の日立」ではなく、「世界の日立」となっている
(Photo by Bernat Agullo

 日立製作所といえば、今や日本を代表する大企業の一つだ。しかし、1910年の創業からしばらくの間は親会社の久原鉱業所から「機械製作をやめろ」と非難されるほど失敗の多い会社だった。

 創業者の小平浪平氏は、東京帝国大学を卒業し、藤田組(現DOWAホールディング)に入社。水力発電所建設をはじめとしたプロジェクトに参画後、藤田組を退職し、東京電燈(現東京電力)に入社した。

 その当時、水車や発電機といった設備のほとんどは欧米企業製だった。東京電燈で欧米製の機械器具を据え付けるだけの仕事に飽き足らなくなった小平氏が「やせても枯れても自分でつくってみたい」という思いから日立を創業したと言われる。

 その後、久原鉱業所日立鉱山に移った小平氏は、電気機械製作会社として独立する形で「日立製作所」を設立。しかし、設立当初は失敗ばかり。小平氏は大きな美濃紙に「進退伺小平浪平」と書いたものをいつも用意していたほどだった。

 その原因ははっきりしていた。当時、日本にはいくつかの製作所があったが、ほとんどがアメリカのGEなど欧米の一流企業と提携、技術や人の支援を受けていたのに対し、日立だけが独立独歩、自力で開発を進めていたからだ。

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 欧米企業との提携、いわく「スケッチ流」は失敗もなければ損も少ない。対する「独立独歩」には手痛い失敗がつきものだった。しかし、人に教わらずに自ら苦しんだ経験はやがて「日本では不可能」と言われた一万馬力水車や大型電気機関車の製作の成功へと導き、日立は「無名若輩の駆け出し」から「日本の日立」へと飛躍する道へとつながった。

 やがて日立が成功をおさめ、「変わったことをやるととかく失敗しますので、私はあまり変わったことはやらないことにしています」という人間が増えてくると、小平氏はこう言って諭した。

「俺は失敗を恐れて改革をやらない男は嫌いだ」

 日立の成功、それは「繁盛と相加えたらゼロになる」というほどの数限りない失敗の累積によってもたらされたものだった。

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