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  • 2014/06/06

なぜ「後出しの予言者」や「解決策を持たない評論家」が社内にはびこるのか

連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意

あなたの会社に「後出しの予言者」や「解決策を持たない口先だけの評論家」はいないだろうか。改善に限らず、新しい挑戦や改革の敵は結果が芳しくない時に、「内心『やめた方がいい』と思っていたんだよ」と「先見の明」を自慢げに誇る人間や、問題は指摘するものの一向に解決策を考えようとしない人間だ。改善に必要なのは予言でも評論でもなく、そこにある問題を解決する「実行力」なのだ。

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大字自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』 『「価格半減」のモノづくり術』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和出版)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。

結果論で批判するほどリーダーとして見苦しいことはない

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MRI装置
連載一覧
 GEの伝説のCEOで、「20世紀最高のCEO」とも称されるジャック・ウェルチには、医療機器のMRIにまつわる悔しい経験がある。MRIはGEの得意とする分野だ。1990年代、ウェルチはMRI装置のトンネルを通過する際に閉所恐怖所になりそうだとして、トンネルを広げるべきだと事業部に提案したが、「考えておきます」のひと言で却下されてしまった。

 1年後、日本の日立メディコが大きなトンネル型のMRIをつくって一気にシェアを伸ばしたため、GEは失ったシェアを取り戻すために2年の月日を要することになった。

 この時、ウェルチは「だから言ったじゃないか」「私にはこうなることが分かっていたんだ」と言いたくて仕方がなかったが、何かが上手くいかなかった時、結果論で批判するほどリーダーとして見苦しいことはないとしてぐっと我慢したという。

 ウェルチはこれまで何か悪いことが起きるたびに「あんなことをしちゃいけないと分かっていたんだ」と訳知り顔に言うリーダーやCEOをたくさん見てきた。「先見の明」を自慢することによって本人は気が楽になるかもしれないが、それで失敗が成功に変わるわけではないし、会社の損失が取り戻せるわけでもない。

 もし本当に結果が見えていたのなら、そうならないように主張したり、手助けしたり、資源を投入すればいい。組織で働く以上、間違っても結果だけを見てこれ見よがしに批判する人間になってはいけないというのがウェルチの教訓だ。

 そんなウェルチが会議で好んで使った言い方の一つに「私に向かってウォルター・クロカント語はやめてくれ」がある。ウォルター・クロカントは「CBSイブニングニュース」のアンカーマンを長く務め、「アメリカの良心」とも呼ばれた伝説のジャーナリストだ。

 それほどの人物を引き合いに出すのはどうかという気もするが、ウェルチによればクロカントは悪いニュースを伝えるものの、その解決策を示していないという意味で「ウォルター・クロカント語」と言っている。

 つまり、ニュースと違って、ビジネスの現場では問題がそこにあるのなら解決策を考えて、すぐに実行することが必要で、問題を指摘するだけの評論家に用はないし、問題が起きると思っているのならそれを未然に防ぐために努力するべきであり、結果論で批判する後出しの予言者などに用はないというのがウェルチの考え方だった。

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