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- 2019/05/17 掲載
Windows 10のリリースサイクル「半期チャネル(SAC)」がまた変更、修正点を整理
Windows 10リリース当初からまったく変わってしまったサービスモデル
この連載はWindows 10のサービスモデルの解説と企業における展開オプションの紹介からスタートしました。その後、2019年9月に行われたサポートポリシーの重要な変更点については第8回でフォローアップしました。関連記事
上記の記事で説明している「半期チャネル(Semi-Annual Channel:SAC)」サービスモデルは、2017年4月に行われた大規模な変更を経て、その後、サポート期間など調整されてきたものです。
「Windows Update for Business(WUfB)」を使用する場合は、「半期チャネル(対象指定)」(Semi-Annual Channel (Targeted):SAC-T)とSACの対象化による段階的な展開が可能です。その意味では、SAC-T/SACサービスモデルと言うこともできます。
2015年7月末のWindows 10リリース当初は、「Current Branch(CB)」と「Current Branch for Business(CBB)」でした。当初は、4カ月ごとにCB向けに機能更新プログラムがリリースされ、サポートされるCBリリースは1つのみ、企業向けのCBBはCB向けリリースから4カ月後に始まり、8カ月サポートされるというものでした。
現在は、18カ月または30カ月の品質更新プログラムのサポートが提供されますが、当初、Windows 10の特定のバージョンは1年しか寿命がなかったのです。
このCB/CBBサービスモデルのリリースサイクルどおりにリリースされたのはWindows 10 November Update(バージョン1511)の1回です。Windows 10初期リリース(ビルド10240)はCB/CBB同時リリースでした。バージョン1511の次のバージョンがリリースされるまでは9カ月空いてしまいました。そして、SAC-T/SACサービスモデルに移行することが決まりました。
進まないEOSがマイクロソフトやサードパーティの負担に
マイクロソフトの当初の目論見とは異なり、多数のWindows 10バージョンが同時にサポートされている状況が長く続いています。今月末リリース予定のWindows 10バージョン1903まで含めると、4年の間に8バージョンがリリースされることになりますが、Enterprise/Educationエディション向けにサポートが続いていた3バージョン目のWindows 10 Anniversary Update(バージョン1607、ビルド14393)が先月ようやくサポート終了(End of Service:EOS)となりました。しかし、特例措置(この連載の第4回を参照)や長期サービスチャネル(Long Term Service Channel:LTSC)」を含めると、完全にEOSのステータスになったビルドは、唯一、Windows 10バージョン1511(ビルド10586)だけです(表1)。
表1 Windows 10のライフサイクル 網掛け部は既に終了したもの。最新情報は、https://support.microsoft.com/ja-jp/help/13853/を参照。 |
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Windows 10バージョン | 提供開始 | 品質更新プログラムのサービス終了(EOS) | ||||
Home/Pro/Pro for Workstation | Enterprise/Education | LTSC (旧称LTSB) |
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Windows 10バージョン1903(ビルド18362) | 新SAC:2019/5/末 | 18か月後の第2火曜日 | 18か月後の第2火曜日 | リリースなし | ||
Windows 10バージョン1809(ビルド17763) | SAC-T/LTSC:2018/11/13 SAC:2019/3/28 |
2020/5/12 | 2021/5/11 | 2029/1/9 | ||
Windows 10バージョン1803(ビルド17134) | SAC-T:2018/4/30 SAC:2018/7/10 |
2019/11/12 | 2020/11/10 | リリースなし | ||
Windows 10バージョン1709(ビルド16299) | SAC-T:2017/10/17 SAC:2018/1/18 |
2019/4/9 | 2020/4/14 | リリースなし | ||
Windows 10バージョン1703(ビルド15063) | CB:2017/4/11 SAC(CBB):2017/7/11 |
2018/10/9 | 2019/10/8 | リリースなし | ||
Windows 10バージョン1607(ビルド14399) | CB/LTSB:2016/8/2 CBB:2016/11/29 |
2018/4/10 (注1) |
2019/4/9 (注1) |
2026/10/13 | ||
Windows 10バージョン1511(ビルド10536) | CB:2015/11/10 CBB:2016/3/8 |
2017/10/10 | 2017/10/10 | リリースなし | ||
Windows 10(ビルド10240) | CB/LTSB:2015/7/29 CBB:2015/7/29 |
2017/5/9 | 2017/5/9 | 2025/10/14 |
一方、個人であれ、企業であれ、使用中のWindows 10のバージョンがEOSにならないように注意してください。
先月、Windows 10バージョン1709のEnterprise/Education以外のすべてのエディションがEOSになりました。WUfBで延期設定をしている場合、次のバージョンのSAC-T/SACのリリース日が前のバージョンのSAC-T/SACの延期設定の基準日になります。
すなわち、Windows 10バージョン1709でSAC-Tを選択して274日以上延期している場合(2018年7月10日+274日=2019年4月10日)、あるいはSACを選択して345日以上延期している場合(2018年4月30日+345日=2019年4月10日)、EOSが過ぎた状態になっています(画面1)。速やかにWindows 10バージョン1803以降にアップグレードする必要があります。
Windows 10 May 2019 Updateからリリース宣言はSACの1回に
現在のSAC-T/SACサービスモデルがスタートしたのは、2017年7月にWindows 10 Creators Update(バージョン1703、ビルド15063)のSAC向けにリリース宣言されたときからです。Windows 10のUIへの反映は、次のWindows 10 Fall Creators Update(バージョン1709、ビルド16299)からです。そして、現在のSAC-T/SACサービスモデルがスタートしてから2年を待たずに、今月末にリリース予定のWindows 10 May 2019 Update(バージョン1903、ビルド18362の予定)からは、新しいSACが始まります。
【次ページ】ユーザーを混乱させてきた「更新プログラムのチェック」の挙動が変更に
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