• 会員限定
  • 2016/08/03 掲載

産業用ロボット市場は、なぜ「間違いなく」拡大すると言えるのか

森山和道の「ロボット」基礎講座

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
前回はイントロダクションとして、同じ「ロボット」という言葉を使っていても思い浮かべる対象は人それぞれであること、そして、それぞれの「ロボット」が各々の市場やプレイヤーを持っていること、しかも市場への期待という面では関連しあっていると述べた。今回は、伸びていくのはどのロボットか、そう思われる理由は何かについて、簡単に紹介する。

執筆:サイエンスライター 森山 和道

執筆:サイエンスライター 森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。

photo
夢みたいなロボット市場予測にまどわされてはいけない


今後、間違いなく活用が広がるのは産業用ロボットだ

連載一覧
 今後、間違いなく成長するロボット分野は産業用ロボットである。日本ロボット工業会、NEDOや経済産業省がときどき発表しているロボット市場の見込みの図がある。「今後のロボットの普及を加味したロボットの将来市場予測」というものだ。しばしば講演などでも紹介されているので、見かけたことがある人も多いと思う。

 あれを見ると、既存の製造業用の産業用ロボットがじりじりと右肩あがりで伸びていく上に、生活分野や公共分野のロボットがドーンと成長するという図になっている。

 では、本当にそうなっているのか、あるいは、なりそうなのか。実際には、ドーンと成長するとされている部分は、いわゆる「絵に描いた餅」で、願望のようなものでしかない。下記の資料を見比べてみるといい。


 これらの資料を時代の変遷を追って眺めてみると、この願望を込めた市場予測が、虚構とまでは言わないが、ほとんどあてにならないことがよくわかる。

 逆に、こういった図をもとにロボットには将来市場性があるという人がいたら、あまりあてにならないと思ったほうが良い。この市場予測がずれているのは、あくまで、「ロボットがこれまでにない市場に普及する」という前提のもとに行われた予測だからだ。

 「普及する」という予測をもとに行われた予測、つまり屋上屋を重ねた予測をもとに、ロボット普及の市場性を語ることに何の意味があるだろうか。

 いっぽう、地道に成長しているのが産業用ロボットの世界である。産業用ロボットの世界市場動向について詳しく知りたい方は下記を見ると良い。こちらについては実際の市場規模の動向調査だ。ただしこちらでも市場予測が一部混じっているので、そこは注意したほうが良い。


産業用ロボットの活用領域・分野はともに急拡大中

 センサーやモーターの性能、制御や駆動のための計算機やアルゴリズムの高速化に伴って、産業用ロボット全体の性能は、今後もっともっと向上するだけでなく、活用分野も大幅に増大する可能性がある。

 産業用ロボットはこれまで主に自動車産業に使われていた。塗装や溶接ロボットが活躍する姿を一度は見たことがあるだろう。そして産業用ロボットは液晶ディスプレイやエレクトロニクス産業での活用を経て、いま、物流全般や、食品・医薬品・化粧品産業でも使われはじめている。

 ここで先に産業用ロボットの世界の流れをまとめておく。これまでの産業用ロボットは、主にモノを作る「製造」分野で用いられていた。それが、「組み立て」や、モノを運ぶ「搬送」にまで広がりつつあるのだ。

 そして、適用される産業分野自体も広がっている。自動車のような重たいものを扱う産業から、より軽いものを大量・高速に扱う分野へと広がっている。

 さらに、ロボット自体の小型軽量化と、一部のロボットは安全柵が不要になったことにより、大規模な工場での活用から、これまではロボットを設置するようなスペースがなかった中小企業での小規模な工場での活用も始まっている、というのが現状だ。人が混在する環境で一緒に働くロボットは「協働ロボット」と呼ばれている。

ファナック協働ロボット「CR-35iA」インターフェックスジャパン2016 )


【次ページ】食品・医薬品・化粧品産業に広がるロボット

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます