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  • 2017/04/26 掲載

家庭用ロボットに求められるものとは何か? ロビ2とアトムの違いから見えるもの

森山和道の「ロボット」基礎講座

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ユーザーが自分で組み立てる家庭用コミュニケーションロボットが2つ、今年登場した。大成功した前作を受けて発売された第2弾であるデアゴスティーニ「ロビ2」と、日本人なら誰もが知る有名キャラを使った講談社「ATOM(アトム)」である。市場が受け入れるのは果たしてどちらか。見ればわかる外見の違いに加えて、ロボットとしての機能の違いもおさえておこう。2つのロボットから両社の市場の捉え方、アプローチの違いが透けて見える。

執筆:サイエンスライター 森山 和道

執筆:サイエンスライター 森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。

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同じ組立型ロボットのロビ2(写真左)とアトムが同時期に発売されるのは偶然ではないはずだ

ロボットブームは一般家庭にも波及

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 ロボットブームはコンシューマーレベルにも降りてきている。それを象徴するかのような製品が今年(2017年)、2つ現れた。デアゴスティーニの「ロビ2」と、講談社の「ATOM」である。どちらもパートワーク、すなわちばらばらの部品が週刊で届いて、ユーザーが自分で部品を組み立てる製品だ。「ロビ2」は6月6日に創刊予定。講談社「ATOM」は4月4日に創刊され、発売中である。どちらもドライバー一本で組み立てられる。

 合計の値段は税込でみると、「ロビ2」が全80号でおおよそ17万円強、講談社の「ATOM」が全70号でおおよそ20万円弱となっている。ただしATOMは、完成後もサービスをフル利用するためには月額料金が別途必要となる。

 講談社の「ATOM」については発表時にも触れたが、ここでもう一度、2つを並べて見てみよう。

15万体売れた人気作の第2弾、ネットにつながらなくてもよいとの判断

 「ロビ2」は大成功した前作「ロビ」の改良版である。著名なロボットクリエイターの高橋智隆氏がデザインしており、ファンの心をがっちり掴んでいる。



 前作「ロビ」は全70号が一回出ただけでなく、なんと3周しており、日本国内のみならずイタリア、イギリス、台湾、香港、シンガポール、マレーシアなどでも展開され、全世界で15万体分販売されたとデアゴスティーニは述べている。

 70号分の価格はおおよそ15万円なので、それが15万体あるとすると、単純計算すると売り上げ 225億円ということになる。途中で挫折した人たちもいるだろうから、実際にはもっと多いだろう。

 また、「ロビ」は大変ユニークな製品で、デアゴスティーニのパートワークであるにもかかわらず、横展開もしている。タカラトミーから派生製品も出ているのである。それだけのマーケットサイズがあるということだ。

 その成功を受けて再び企画された「ロビ2」は、「ロビ」であることを維持しながら、機能を進化させることに注力したとしている。組み立てやすくなったのはもちろん、サーボモーターそのほかも改良されているという。相棒ロボットも付き、英語を勉強したり、ボードゲームを楽しむこともできる。ロボットマガジン部分も新たに作り直されている。

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全国発売に先立つ4月に六本木で行われたデアゴスティーニ「ロビ2」イベント

 デアゴスティーニは、どのパートワークにおいても事前に限定された地域でテスト販売を行う。パートワークは最初の売れ行きとその後の右下下がりのカーブの見極めが重要となるからだ。「ロビ2」も同様であり、すでに入念な調査が行われての6月の投入となっている。販売予約は好調に推移しているという。

 「ロビ」からわかりやすく進化した点は、カメラがついたところだ。顔認識で家族を見分けて、誕生日などを祝う。スケジュール機能や絵本読み聞かせも追加された。



 また、サブキャラに「Q-bo(キューボ)」というロボットを新たに配した。「キューボ」には「ロビ」とは異なるキャラクターを持たせて、ユーザー含めて3者でからませることで、これまでよりも豊かな活用が可能になった。



 興味深い点だが、「ロビ2」にはネット接続機能はない。QRコードを使った見かけの機能アップはするが、それはあくまで見かけであって、事前に仕込まれた機能が徐々に解放されるというかたちだ。一方、そもそもネットにつながらないので、会話ログ流出などのネットセキュリティの心配はなく、購入者のインターネット環境の有無も問わない。

 製品としては、ネット接続のための機能をつける(そしてそのぶん、コストを上乗せする)よりも、従来どおりの機能をブラッシュアップするだけで顧客満足度としては十分だという判断だったのだろう。これはビジネス上でも大変興味深いポイントである。

 ユーザー的には、非常に大雑把にいうと、まず高橋智隆デザインのロボットが欲しいかどうか、そしてネット接続アプリケーションを利用するかしないかが、シャープ「RoBoHoN」と、デアゴスティーニ「ロビ2」の住み分けとなっている。



【次ページ】誰もが知る超有名キャラクターを自作する「ATOM」

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