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  • 2014/03/04 掲載

止まらないネット広告の信頼性低下 広告をクリックできなくなる時代がやってくる?

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検索はWebの基本を成す機能のひとつだ。また、広告はインターネットでのサービスを続ける上で事業者にとって不可欠なものといえる。検索エンジンが導き出す検索結果はアルゴリズムの範囲で信頼できるものであり、我々はその結果を生活・仕事に活用している。欲しい商品やサービスに関する広告は、情報収集する上で役立つものだ。しかしここ最近、Webの信頼性を問い直すような情報セキュリティインシデントがいくつも発生し問題となっている。虚偽の表示で誤った誘導や勧誘を行う広告など、企業側のモラルやコンプライアンスが問われる本インシデントをひもとき、広告の未来を考えていきたい。

執筆:フリーランスライター 中尾真二

執筆:フリーランスライター 中尾真二

フリーランスライター、エディター。アスキーの書籍編集から、オライリー・ジャパンを経て、翻訳や執筆、取材などを紙、Webを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは言わなかったが)はUUCPのころから使っている。

マルウェアのような動きをする広告

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 2月の半ば、スマートフォンが「メモリが不足している」として、クリーンアップを促すメッセージが表示され、リンクをたどるとあるソフトウェアベンダーのクリーンアップツールのダウンロードページに誘導されるという事例が話題となった。

 なにが問題になったかというと、メモリ不足のワーニングと思えるメッセージを表示していたのは、スマートフォンやタブレットの正規の機能やアプリではなく「広告」だったからだ。広告なので、端末のメモリ残量などを調べてメッセージを出しているのではない。ダウンロードページに誘導するための虚偽のメッセージだ。

 そのソフトウェアベンダーによれば、広告は正規に依頼したものではないという。代理店が、ダウンロード数の成果報酬を上げるために契約後にそのような広告に無断で差し替えた可能性を示唆している。あるいはアドネットワーク(後述)に不正な広告が紛れ込んだ可能性もあるが、誘導先が正規のダウンロードサイトとするとその可能性は低いだろう。

 ちなみに、中国では悪質な代理店が広告の成果を上げるため、クライアントに確認した広告やクリエイティブを使わず、より過激な、あるいは今回のような詐欺まがいの広告に勝手に差し替えるところが実際に存在するそうだ。

検索サイトの広告も信頼できない?

 もうひとつの事例は、検索サイトの国内最大手のページで起きたインシデントだ。この事例では、アドネットワークの機能が深く関わっている。

 アドネットワークとは、メディアサイトの広告枠をまとめて買い、そこにさまざまな広告主の広告を表示させる仕組みを提供するサービスだ。これまでのWeb広告代理店との違いは、特定の企業と特定のページの広告を買うのではなく、バナーなど広告枠をまとめて押さえる点。これにより、メディアサイトは個別の広告主との契約や調整などの手間をかけずに広告枠を埋めることができる。広告主もアドネットワークの代理店と契約すれば、サイトごとの契約や調整などを効率化できるメリットがある。

 問題となったインシデントは、国内大手の検索サイトの検索結果に表示される検索連動型広告に、銀行のフィッシングサイトが表示されていたというものだ。このサイトは検索結果の上位にキーワードに関連した広告を表示するようになっていたが、どこまでが検索連動型広告なのか、通常アルゴリズムによる検索結果なのかが明確でなかった(現在は改善されている)。その結果、銀行サイトを検索した人が、フィッシングサイトに誘導され個人情報などを抜かれた可能性があったという。

 GoogleやAmazonは検索キーワードに連動して表示される結果(広告)は背景色の違いで区別できるようにしているが、これでもわかりにくいとして米国では問題となっている。このサイトでは色分けもなかったため、攻撃者の誘導を意図せず助けていた形になっていたわけだ。

 検索結果の広告にフィッシングサイトが紛れ込んだのは、この表示にアドネットワークを利用していたためとされる。一般にアドネットワークの広告は、サイトやメディア側が個別に指定したり契約するわけではない。

 つまりアドネットワークの利用者は、どんな広告が表示されるかはアドネットワーク側が事前に説明する内容でしか把握できない。アドネットワーク側も、枠をまとめて押さえるためなるべく多くのクライアントを獲得する必要があり、結果として、代理店、サイト側ともに違法・不正な広告のチェックができていなかった。

【次ページ】ネット広告がクリックされない時代に?

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