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  • 2008/07/02

進む小売・サービス業におけるIT化、4つのメリット3つの成功ポイント

原材料価格の高騰や労働力人口の減少など、日本企業を取り巻く環境は急速に悪化しつつある。インフレと実態経済の悪化が共存する「スタグフレーション」を指摘する声もある。特に企業規模が小さくなればなるほど、その業況は非常に厳しい。もちろん小売業やサービス業も例外ではない。変化の激しさを増す顧客の嗜好に応え続けなければならないからだ。ここでは、特に競争の激しい小売業やサービス業を支える中堅中小企業にスポットを当て、こうした企業のIT化はどの程度進んでいるのか、さらにどのようにすれば成功に導くことができるのか、その実際に迫った。

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変革に強い企業に生まれ変わるには?

 あらゆる商品の原材料価格が高騰している昨今、物品を販売したり、店頭でサービスを提供する小売業やサービス業の置かれている状況の厳しさは想像に難くない。さらに、少子化の影響もあって、労働力人口の減少という問題も慢性的に経営者を悩ませている。下記は3月28日に内閣府と財務省によって発表された「法人企業景気予測調査報告」から一部を抜粋したものである。

大 企 業 中 堅 企 業 中 小 企 業
2007年 2008年 2007年 2008年 2007年 2008年
10~12月 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月 1~3月 4~6月 7~9月
全産業 0.5 -9.3 -2.3 6.6 -2.6 -14.1 -5 4.7 -18.7 -30.4 -20.2 -12.7
小売業 5.4 -0.8 4.8 11.3 -2.3 -15.4 -14.7 5.5 -32.1 -41.6 -30.9 -24.8
サービス業 2.2 -8 5.5 6.4 -3.3 -15.6 5.1 7.4 -21.5 -23.9 -16.7 -7.5


 この表の数字で赤字になっているところは、景況感が「悪い」とされる箇所だ。ご覧いただくと分かるとおり、表を右に移すほど(=企業規模が小さくなるほど)赤字が増えていく。細かく数字を見ると2008年後半にかけて、若干改善が見られるものの、現状は「中小企業の景況は、弱含みの動きが続いている(『中小企業景況調査報告(2008年5月調査)』)」状況だ。

 こうした中、競合優位性を確保し、収益性の高い企業を目指すために必須となるのが「攻めのIT」だ。中堅中小企業でも、経理や税務申告といった「守りのIT」を活用している企業は多いが、企業成長をはじめとした「攻め」に結びつけているケースは非常に少ない。とはいえ、過度な「ITに対する幻想」は、時として過剰投資を生むことがある。自社に必要なものを見極め、必要なものを必要なときに導入していくことが大切だ。

自社の事業を「攻めのIT」化で変える

図1 IT化のメリット(小売業・サービス業)

図1 IT化のメリット(小売業・サービス業)
4つの項目は有機的に結合されている。

 自社に必要なITを見極める前段階として、まずはIT化の必要性について整理してみたい。小売業やサービス業において、IT化するメリットは何だろうか。ここでは大きく4つに分けてご紹介したい(図1)。

リアルタイム性

 1つめは「リアルタイム性」だ。コンビニでは人気のない商品は1週間もすれば姿を消してしまう。こうしたスピード感のある経営に正確な判断材料を提供してくれるのがITである。コンビニでPOSシステムが採用されていることは周知のとおりだが、POSシステムはコンビニのような先進的な投資が可能な大規模チェーン店だけに必要なものなのだろうか?そうではないはずだ。経営の判断材料の重要性は企業の規模を問うものではない。もちろんIT化を進めていけば、さらに経営判断に素早く対応できる柔軟性の高い企業体質も獲得できる。

コスト削減

 中堅中小企業の場合、新規システム投資と聞くだけで尻込みすることがある。しかし、IT化のメリットの2つめはむしろ「コスト削減」である。たとえば、小規模ながらも多店舗展開している小売事業者を考えてみよう。ある店舗で在庫がなくなった場合、すべての店舗に在庫の確認を電話で行うと、たまたま効率よく確認できて10分×店舗数、6店舗あるだけで1時間のロスが生じてしまう。さらに問い合わせを受ける側の時間も割く。時給1,000円のバイト2人だったとして、年間200日営業日で計算すれば40万円のロスになるわけだ。もしも在庫を「見える化」するシステムが導入され、全店を統括したリアルタイムの情報管理ができていたらどうなるのか、「そもそも在庫がなくなる前に調整が可能ですね」NECソフトの神奈川支社で、日々中堅中小の小売業・サービス業の経営者たちとIT化を進めている河村博司氏は語る。

セキュリティの向上

 ご存じのとおり、個人情報保護法の施行をはじめ、セキュリティへの配慮はこれまで以上に求められている。中堅中小企業のセキュリティに対する取り組み姿勢はどうなのだろうか?NECソフトの高橋正城氏は「データの中身やネットワーク上を流れる文字列まで暗号化したいという要望もあります」と意識の高さを強調する。ITと聞くと情報漏えいや悪意のある攻撃に晒されると危惧する向きもあるが実際はそうではない。依然、情報漏えい経路の件数で最も多いのは「紙媒体」なのである(図2)。

図2 情報漏えいの媒体、経路

図2 情報漏えいの媒体、経路
(参考:『2007年度 情報セキュリティインシデントに
関する調査報告書(Ver.1.1)』
日本ネットワークセキュリティ協会,2008)

 たとえば、店舗にある共用PCで「アルバイトは出退勤管理のみ可能」「店長であれば従業員の成績まで確認できる」など、紙で情報を管理していた時代には考えられないことが可能である。さらに、物理的なセキュリティでもITは有効だ。「スーパー銭湯などでは、レストランやアカスリなど施設内の様々な場所でサービスを受けられます。しかし入浴時の安全性を考えると、現金などの貴重品を持ち歩くのは避けたいところです。そこで、ロッカーキーに取り付けたバーコードを読み取ることで各店舗での支払いを行い、出口で一括精算できるようにしてあるのです」(河村氏)。

収益基盤と業務効率の向上

 さらに注目してもらいたいのが「人の管理」である。小売店の場合、まず店舗に足を運んでいただくお客さまのことを考えてみてほしい。「ブランド商品などを中古販売するお店では、同時に下取りなどの対応を行っていることが多いのです。そういったお店では、購入だけではなく買い取りの情報も合わせて管理しています」(河村氏)。なぜそんな情報が必要になるのだろうか?「たとえば高級腕時計を購入される際、先に購入した時計を下取りに出されるケースがよくあります。下取りに出されたタイミングで、高級腕時計販売のキャンペーンなどを実施すれば非常に効果的なのです」。高級な腕時計に限らなくてもいい。美容院でカラーリングをした後、ちょうど色が落ちてきた頃合いを見計らって、DMを打つだけでもリピート率は大きく向上する。

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