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  • 2015/12/24 掲載

ビッグデータやIoT、AIはどう活かすべき? 日本経済活性化への筋道とは 篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(69)

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2015年もいよいよ余すところわずかとなった。通信自由化から30年の節目で明瞭になったのは、ビッグデータ、IoT、AI、音声認識といった最新技術の実用化に向けた動きだ。人口減少で供給制約と需要低迷に直面する日本経済にこれらの技術をどう活かすか、経済の活性化につながる筋道を考えてみよう。

執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
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インフォメーション・エコノミー: 情報化する経済社会の全体像
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

分水嶺に立つ日本経済、カギを握るのは技術革新

 通信自由化から30年の節目にあたる現在、日本経済には大きく二つの潮流が押し寄せている。人口の減少トレンドとグローバル規模の技術革新だ(連載の第56回参照)。

 前者は、労働力不足による供給制約と総所得の抑制による需要低迷という経路で経済活動を縮小させる。他方、後者は、生産性向上による供給力の拡大と新サービスによる需要創出で経済活動を拡大させる。どちらの潮流が勝るかによって、今後の日本経済は明暗を分けることになるだろう。

画像
日本経済を取り巻く2つの潮流

 経済的繁栄で重要なのは、限られた人的資源でより多くの富を生み出すことであり、単なる頭数の多さではない。カギを握るのは技術進歩を梃子にした生産性向上だ(連載の第2回参照)。これは、より少ない労働投入(分母の縮小)で付加価値を高める(分子の拡大)ことに他ならず、そのためには、低コストで豊富に利用できる技術が欠かせない。

 ほぼ2年で処理能力が倍増する「ムーアの法則」に半世紀以上も導かれた情報技術はその最右翼だ(連載の第68回参照)。

IoTで人手不足を克服し付加価値を高める

連載一覧
 前回みたように、倍々ゲームで進歩する世界は、一定の時間が経過すると、途方もなく莫大な変化をあっという間に実現する。今年、ひときわ注目を集めたIoT、AI、音声認識など実用技術は、劇的な価格低下と圧倒的な普及に導かれて、その威力が一気に発現し始めたことを如実に示している。

 今や世界の総人口約70億人に匹敵する数の携帯端末が行き渡り(連載の第56回参照)、その約10倍の量の機器類が次々とつながり始めて、ネットワーク上では天文学的な量の利用可能なデータが生成され、流通するようになった(連載の第57回参照)。

 この威力を活かして人と技術が上手く補完し合えば、生産性を高めることが可能だ。たとえば、目視によるインフラの維持管理など、これまでは膨大な手間とコストがかかっていた活動をIoTやビッグデータの力で補完すれば、適材適所による効果的な人材配置で貴重な人的資源の拡散と疲弊を防ぎ、より付加価値の高い活躍の機会を提供できる。

 データを活かした効率的なインフラの維持管理が「分母の縮小」に寄与するとすれば、大量のデータからきめ細かくニーズをかぎ取り、新市場を生み出す道は、付加価値向上による「分子の拡大」につながるだろう。いずれも、1人当たり所得を増大させ、新たな財・サービスの購買力を高めるという点で需要の拡大効果が生まれる。

【次ページ】移民に頼らず世界の労働力を取り入れる

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