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2016年02月15日

実証分析でも判明!シリコンバレーは海外から高度な人材を受け入れたから発展した 篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(71)

米国とインドの間で盛んなオフショアリングは、21世紀のサービス貿易を大いに発展させてきた。その原動力となったのが「人材の国際移動」だ。高度技術者用のH1-Bビザを取得して、世界各地から米シリコンバレーなどに渡った人材が、対米サービス貿易を拡大させている様子は、実証分析でもはっきりと確認できる。ハイテク分野で発展を続ける秘訣は、才能あふれる技術者を海外から広く受け入れることにありそうだ。

執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠ア彰彦

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オフショアリングの取引規模は1995年から10年で2.6倍に拡大した


米国のIT企業で活躍するインド系技術者

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 オフショアリングを本格的に調査したUNCTAD(2009)によると、ITブームに沸いた2000年を挟む1995年から2005年の10年間に、世界全体の取引規模は、4,400億ドルから1兆1,600億ドルへと2.6倍拡大した。これは、同期間の世界のGDPやサービス貿易の伸びを大きく上回るものだ。

 オフショアリング発展の要因についてはさまざまな分析がなされているが、いずれの研究でも、国境を越えた人材のつながりが重要だとする点に共通点がある。

 特に、米国との間でオフショアリングが盛んなインドについてみると、サン・マイクロシステムズの共同創業者であるビノッド・コスラ氏や、ホットメール(Hotmail:現マイクロソフト)の開発者サビア・バティア氏のように、米国で学位を取得後、そのまま米国で実業家として活躍する有力なインド系の人材が数多く含まれる。

 また、欧米系企業のインド子会社に派遣される形で帰国したり、インドでIT関連ビジネスをスタートアップさせたりする人材の層も厚い。インド経済の自由化、情報通信網の整備、ITバブル崩壊などの要因で、2000年代以降は、オフショアリング企業が次々と立ち上げられた。

インド系技術者による米印間のスモールワールド形成

 ここで注目されるのは、在米経験のあるインド人が母国に帰還することによって形成された人的ネットワークが、米国とインドとの間に緊密なビジネス取引を生み出す点だ。

 これは、前回解説したネットワーク理論でいう「リワイヤリングによるスモールワールド・ネットワークの形成」そのものだ。

 個人レベルで米国とインドの間に人的ネットワークが形成され、それがオフショアリングという企業レベルの取引機会を増加させ、さらには、国家間のサービス貿易拡大をもたらすことにつながった。

 問題は、これが一部の特殊な事例を誇張しただけの単なる逸話に過ぎないのか、それとも、本当に個人のつながりが国家レベルの貿易に影響を及ぼしていると判断できるのかにある。

 それには、統計データに依拠して、人的交流の強さが国家間のサービス貿易に影響する様子を客観的に検証する必要があるだろう。

【次ページ】H-1Bの取得者数のデータを用いた実証分析結果

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